第5話 デスティニー魔法学校入学式
ナインデスティニーのゲームを始めると、まずは主人公を勇者アレックスにするか魔王カインにするか選択する所から始まる。
勇者アレックス。貴族の息子で金髪の髪色の光属性持ちだ。爽やかイケメンと言えばよくわかるだろう。
対して、魔王カインは、アレックスと同じ貴族の息子で黒髪の闇属性持ちだ。クールな引きこもりボッチキャラと言えばわかるだろうか。
なんせ性格が性格が正反対だ。まあ通はどちらもプレイするので2倍楽しめると喜ぶだけなんだが。
主人公を選択すると、自宅から王都に向かい、入学式に突入する。入学式が終わるまでがオープニングだ。時間にしたら5分ぐらいだろう。
どちらを選択しても、入学式が終わった後に、カインが女性にうざ絡みする所を、アレックスが止めて戦闘になる。
引きこもりボッチキャラが女性にうざ絡みってありえなくない?と思うだろう。
安心してほしい。俺も同じ事を思った。
まあそんなこんなで戦闘になるんだか、主人公はここでいきなり負けるのだ。
えっ?主人公いきなり負けるの?と思うだろう。
安心してほしい。俺も同じ事を思った。
勇者アレックスは負けた事で、自分の弱さを痛感し強くなろうと強く意識するようになる。
魔王カインは負けた事で勇者アレックスを恨むようになり、アレックスから全てを奪ってやろうと決意する。
そこでオープニングが終わる。えっ?ヒロインはオープニングで出ないの?と思うだろう。
安心してほしい。俺も同じ事を思った。
ってこのくだりはもういいだろう。
今俺がしようとしてる事は、そこに乱入して、勇者、魔王ともに負けさせようとしているのだ。どちらも負ければどうなるのか?
それは俺にもわからない。だが俺は何度も何度も何度もナインデスティニーをプレイして、勇者や魔王、ヒロインの事は誰よりも知っている。
俺が主人公になる為には、このオープニングのイベントで爪痕を残すしかない。と言う結論に出た。
俺がプレイしてない勇者がヒロインとイチャイチャするなんてゆるせない。
俺がプレイしていない魔王がヒロインを略奪するなんてゆるせない。
折角ナインデスティニーの世界に来たのだ。俺がヒロインとイチャイチャし、誰かに先を越されたら俺がヒロインを奪ってやる。
俺は入学式の式典中も勇者アレックスと魔王カインの動向を注意深く見ていた。動向と言っても座って式典を聞いているだけなのでチラチラと見ているだけだ。
イベントが始まるのは入学式が終わってからだ。その時どちらかの側にいれば介入は可能だろう。
そんな事より今は、
はじめに現れるヒロイン3人と仲良くしたい校長と生徒会長の確認だ。
サクラ校長は、緑の髪で耳が長いエルフだ。エルフと言えば年を重ねても若若しい姿で、スレンダー美人を想像するだろう?
まさしくその通りの姿だ。そして何より胸もでかい!そんな美人がヒロインじゃない時点で、俺は何度も何度もアップデートでヒロインを追加するべきだ。と運営に熱いメッセージを送っていた。
まあ実装される事はなかったのだが・・・
そして、生徒会長のカエデさん。ロングな赤髪が超絶似合う学園のアイドルだ。
アイドルなのにヒロインじゃない時点で、俺はカエデさんもヒロインにするべきだ。と熱いメッセージを運営に何度も送った。
だが・・・
これも実装される事はなかった。
おっと、話が脱線したが、今は今年出会えるヒロイン3人だ。
青髪のマリア、茶髪のスズ、黄髪のデリカだ。
生のヒロイン達は遠目から見ても、超絶可愛いかった。
この世界に来れて本当によかった!!!
入学式の式典など、右から左の状態で俺はひたすらマリア、スズ、デリカ、サクラ、カエデをループで見まくった。
勇者?魔王?うるさい!お前らは入学式が終わったら相手してやるから今は俺の視界から消えてくれ。
おっと、ヒロイン達を見てたらいつの間にか入学式が終わってるぞ。急いで勇者か魔王の後についていかないと。
まあ戦闘は校庭、外のグラウンドで行われるはずだから、見過ごす事はないんだけどね。
俺はダッシュで、体育館を出て、グラウンドへ向かった。すると、ちょうどカインが女生徒にうざ絡みしている所だった。
カインって引きこもりボッチキャラなのによく、女生徒に声かけれるよな?うわ〜、平民なら貴族の誘いを断るなよ。ってもろラノベみたいじゃん。悪役貴族?いやいやカインはボッチキャラだろ?
俺が遠目からカインを見ていると、うざ絡みがヒートアップして、カインが女生徒の手を掴んだ。結構デカめの声だったから周りに人だかりができている。そう、そのタイミングで爽やかイケメンの勇者アレックスの登場だ。
アレックスは、「その子が嫌がってるだろ。やめろよ。」と悪役貴族を成敗するラノベの主人公のような台詞を言ってカインに迫った。
きたきた。アレックスとカインの決闘イベント。これで負けた方が主人公なんだけど、俺はどっちも選択してないんだよね。悪いけど、その決闘。介入させてもらいます。
「そこまでだよ。入学式早々騒ぎはまずいっしょ。」
決まったな。決闘騒ぎを身を挺して止める俺。うん。目立ってるよな。
「なんだお前は?俺はコイツが嫌がってる女の子にちょっかいかけてるのを止めただけだろ?」
「僕の誘いを嫌がる訳ないだろ?お前こそ、後からしゃしゃり出てきて僕の邪魔をしたんじゃないか。」
「何を!!」
「何だよ!!」
アレックスは光の玉を、カインは闇の玉をそれぞれ放ち決闘が始まった。
「あ〜わかったわかった。どうあっても決闘は止まらない流れね。なら俺が二人の相手をしてやるよ。喧嘩両成敗だろ?」
俺はそう言って二人に氷の玉を放った。
お前らはまだレベル1だから、魔法だって5回しか使えないだろ?俺はレベル3だから15回は使える。二人にゴリ押ししても俺の方がギリ勝てるだろ。
アレックスとカインの決闘に乱入し、俺は二人に向けて連続で氷の玉を放った。アレックスもカインも俺の介入に驚くが、俺は気にせず攻撃を重ね二人を撃破したのだった。
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