第4話 王都到着

「やっと着いた。」


長かったな〜。オープニングって普通さらっと流すのに1週間だもんな。まあリアルだとモンスターも出たからレベルは上がったし、モンスターがどう言う訳かお金を落とすから所持金も増えたからよかったと言えばよかったけど。


とりあえず宿を探して入学式の日を確認するか。時間があるなら王都の散策だな。街並みは俺の知ってるナインデスティニーと一緒だから店の場所とかは問題ないけど、先に成長の首飾りは取って起きたいもんな。


さてさて、おっ!あったあった。宿屋デンジャラス。ここ、ここ。魔王カインの時はお世話になりまくったよな〜。なんせ全ヒロインとここに泊まったもんな。店員がいないから誰にもバレずに使えるもんな。


デンジャラスは体験しておかないとな。これからお世話になるかもしれないし。


俺は、受付でお金を払い、鍵を受け取った。もちろん店員の顔はわからない。顔の部分に目隠しがあり見えるのは手だけだ。細い手だったから受付は女性なんだろう。


「おっ301号室。」


そういやデンジャラス使うといつもこの部屋だな。階段上がって1番奥。


そうそうここだ。大きいベッドに間接照明がいい感じに付いてる部屋。一人じゃ大きいよな?あ〜思い出すな。やっぱり1番はあの子だよな〜。いや3人で泊まった時の方が良かったか?


・・・


俺、本当にナインデスティニーの世界に来たんだな〜。ひたすらナインデスティニーで自家発電の日々だったけど、キャラとしてプレイしてるって事はそういう事もできるって事だよな。いつぶりだ?もう久しくしてなかったから思い出すのも大変だな。


それに・・・


これが今の俺か〜。黒髪に銀メッシュなんて俺だけだろうし目立つよな〜。ここに来るまでも他の町で、ジロジロ見られたし、かなり珍しいんだろうな。現に俺が知らない髪の色の人は全くいなかったし。


顔もまあまあ整ってる。勇者アレックス程じゃないとしても十分イケメンの部類に入るはずだ。それに痩せてるし。



シュンは鏡を見ながら何度も何度も自分の容姿を確認した。



とりあえず、入学式の日の確認と成長の首飾りを取りに行くか。これがあるとないとじゃ学校生活が天と地ほど違うからな。それにもたもたしてるとアレックスかカインに取られるかもしれないし。


そういや~。アレックスとカインももう王都にいるのか?いやいるだろうな。同じ学校に入るんだし。それに・・・ヒロイン達もいるだろうな。


あれ?そういやヒロイン以外の女性の扱いってどうなるんだ?生徒会長とか校長とか俺的にはモロストライクだぞ。もしかしてヒロイン以外も攻略できるんじゃ・・・。いやいや冷静に考える。ここはゲームの世界だけどリアルだぞ。9人のヒロインの攻略って言ってるけど、攻略するのは勇者と魔王だ。俺はただの村人だ。まずは学校に入学して情報を集めるべきだな。


ロードできないんだ。失敗はできない。慎重に進めないとな。でも・・・ふふふ。俺がハーレムか・・・考えただけでワクワクゾクゾクするな。



そうしてシュンは宿屋デスティニーを出て、情報収集へと向かった。



さすが王都デスティニー。かなり活気があるな。俺がいた村と大違いだ。まあ地図にも載ってない村と王都を比べるのがおかしいっていうのもあるけど。


あったあった。教会だ。ここの裏手に落ちてるはずだけど、ちゃんとあるかな~。ってあったあった。これこれ成長の首飾りだ。これがあれば人より早く成長する事ができる。これで勇者や魔王に対して一歩リードできるはずだ。


まあ、レベル3になったから入学式イベントに乱入してもいいしな。勇者も魔王も入学式時点じゃレベル1だから、現時点では俺の方が強いだろうし。


シュン 


レベル3

HP30

MP30

攻撃力9

防御力9

魔法力16

魔法防御11

敏捷性11

運11


欲を言えばレベル5になって氷の矢を覚えたかった所だけど、それはさすがに欲張りすぎか。氷の玉でも十分強いし、魔法力も16あれば・・・ってよくよく見たら16しかないのか。あまり勇者と魔王と変わらないな。HPとかMPは多いから持久戦になれば俺が勝つだろうけど、乱入してもあまり意味はないかもな。



教会の神父に入学式の日を教えてもらったシュンは王都の町を散策していた。



入学式は明日か。そういやオープニングだからって思ってたけど、入学前にヒロインと会ってもいいんだよな?どうする?探しに行くか?いや、向こうからしたら誰だお前?ってなるか。逆に好感度が下がる可能性もあるか。いやでも遠目から見る分にはいけるか?いやでも・・・



結局シュンは王都をグルっと回ってから、宿屋デンジャラスへと帰って行った。



明日だ明日だ。オープニングの一番の見せ場は明日の勇者と魔王の対決だ。俺は、がんばってここで、二人を止めればいいんだ。目立つだろうけど、俺がここで手を上げたらきっとヒロイン達と仲良くなれるはず。その為に少しだけどレベルだって上げたんだ。


ここが分岐点だ。俺が明日何もしなかっても特にゲームに影響は与えないだろう。だけど、折角大好きなナインデスティニーに来たんだ。ヒロインと仲良くなりたいし付き合いたい。イチャイチャしたいしやる事もやりたい。純愛の勇者と略奪の魔王に勝つにはコツコツやれる事を積み重ねるしかない。


よし!行動あるのみだ!!!



シュンは明日の入学式に備えて、早めに眠りにつくのだった。



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