現代短歌

「現代短歌ってさ……なんだろうね」

「なんだろうって、現代短歌の定義?」

独り言ちた疑問に桜がのってきた。


「最近の短歌の雰囲気が知りたかったのに、戦前の現代短歌とか戦後の現代短歌とかあって困惑してた」

短歌コンテストに応募してみようかなーと軽い気持ちで短歌について軽く調べてみただけだ。

学問的にどうこうとかを論じたい訳では無い。


「現代口語短歌ってあったのも『サラダ記念日』とかのブームの頃で前世紀だった」

「名前はよく聞くけど、思った以上に古いのね」

知らない分野の知識は思った以上に古かったりするが、高校生にとっては生まれる前の話だ。


「で、自分で短歌を書いてみてるんだけど、雰囲気が現代、というか、令和の短歌にならないなぁ、と。

せいぜい、平成な感じ?」

「あー、ごめん。言ってることは分かるけど全然理解できない」

まあ、本人が理解できていないので他人が理解できないのは当たり前だとは思う。


「令和のは、短歌って言われないと短歌とわからないのも多い気がする。

令和のは指折り数えそこでああホント短歌だ、ってなるんだよ」

「そんなもんなんだ」

桜はわかったようなわかってないような顔をしている。


「ほら、『令和のは指折り数えそこでああホント短歌だ、ってなるんだよ』ってのもコンテストにだしても問題はない」

ってせっかくだから出しておこうか。

だけど、一首だけってのは何だか負けた気がするのでやめよう。


「マジだ……」

桜は繰り返し指折り数えている。


「いや、これもまだ平成レベルな気がする。令和のはもっと平坦なリズムで区切りが違うのも多いんだよなぁ……」


桜はコイツナニイッテルンダと言わんばかりの目を伏せ、読書の続きに入った。




―― 解説 ――


コンテスト用に書いた短歌は、文芸部 歌集 として以下で閲覧できますので御覧ください。

https://kakuyomu.jp/works/16817330656623599081

エピソードタイトルに短歌ですが、中の本文には文芸部小話を書いています。

本文を書かなければもっと簡単だったのでは?と思いますが……



リズムですが、短歌を読んで(詠んで)て、思った以上に自分は文章をリズムでとらえてるなぁ、と感じました。

誤字脱字の違和感も多分、読む時のリズムで判断している気がします。

で、短歌ですけど、自分で書く段になると57577に思った以上に囚われてて昨今の短歌っぽくならないのがなんか悔しいです。




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