執筆ネタをひねり出す方法教えてください

「先輩、まだ投稿してたんですね」

「小説書けないといいつつマメすぎ」

後輩姉妹があきれた眼差しを向けてくる。


「書けない。全部の引き出しを開けて、逆さに振ってもネタが出ないぐらいに追い詰められている」

お題があった時はまだ何とかなったが、お題がなくなった今本当にかけなくなっているのだ。

「マゾですね」

妹ちゃんが辛辣だ。

「二十日目でやめそこなってしまうと、マンスリーミッションまではこなしておきたくなってしまって……」


「では、先輩が何を書けば良いか占ってみましょう!」

妹ちゃんは、カバンを漁って何か取り出した。

「この娘、先日からタロット占いにハマってしまってるんですよ。

ちょっと付き合ってやってください」

タロット占いを実際に見るのは初めてだ。

何かネタになるかもしれない。


かき混ぜたカードを十字に並べていく。

なかなか様になっている。

「先輩の現在の状況は……

【法皇】の逆位置、えーと、ひとりよがりで上手くいっていないとかですね」

まぁ、そんな感じかもしれない。


「この位置はこれまでの経過ですが……

【太陽】の逆位置、能率が酷く落ちていますね」

順番に何箇所かのカードをめくっていくが、割とあたっている気がするが、

「ちょっと、逆位置多くないか。逆位置が悪いのはなんとなくわかるぞ」

つまるところ、小説がかけずにスランプ状態が的確に言い当てられている。


「では、最後に結果がどうなる、つまり、先輩の小説が書けるかですが――

【世界】のカードですね。【世界】は大団円とか表します」

そう言って、そっと目を逸らす。


「いや、俺でもそれが逆位置なことぐらいわかるから」

「【世界】の逆位置だと、努力の空回りとか計画通りにいかないことを表しますね……」

そそくさとカードを片付けていく。


「「先輩、お疲れ様でしたー。執筆がんばってください」」

そして、あっという間に姉妹たちは部室から去っていくのだった。




―― 解説 ――


777文字のオリジナルは、

https://kakuyomu.jp/works/16817330654828681590

で公開しています。


カクマラソン参加の777文字縛り、23日目の投稿でした。

実際にタロット占いをしてもらって出たネタでもあります。

ちなみに、なんとなく「占い」をお題としてネタ出ししていて、もう一つ思いついたのは猫乃わん太の方で使用しています。



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