弱小部活物ラノベによくある部員勧誘イベント
「さて、弱小部活物ラノベによくある部員勧誘イベントを始めようではないか」
新部長に決定した
部活対抗のデスゲームでも始まるのかもしれない。
前部長である先輩にジト目で見られているが、先輩は気にしている様子がない。
力先輩は相変わらずスクワットをしているし、桜先輩は窓際の席で我関せずと読書に夢中だ。
二年の先輩たちはマイペースがすぎる。
これは、私たち姉妹がちゃんとしないと。
「よくある話ではあるが、ウチでも部活存続には五人以上の部員が必要となっている。
三年生が抜けてしまうと、人数が厳しくなるので、名目だけでも良いから部員登録者が欲しい」
新しく作ったらしい新入生勧誘用の部員募集チラシを渡される。
「基本的に部活勧誘はGW前までなので、それまでに本登録した部員五人は確定しておきたい」
私たちの正式な入部届けは先程渡してある。
結局、新一年生は今のところ私たち二人だけだ。
来年のことも考えると私たち以外の一年生の新入部員も欲しい。
「あれ、桜先輩も二年生ですよね、それなら、先輩たち三人に私たち二人で五人はクリアしていますよね?」
妹が指折り数えながら聞いた。
「それがさ、本物の幽霊部員だと登録されないから、俺と力の二人なんだよね……」
窓の方に顔をそらしながらそう言われた。
「え、力先輩も幽霊部員ですよn――」
つられて窓の方を見た私の言葉が止まる。
視線の先には先程まで桜先輩が読みかけていた本だけがあった。
◆ ◇ ◆
「せ~ん~ぱ~い」
妹が桜先輩にすがりついて涙目である。
「ちょっとー、私が入部届取りに行ってる間に何があったの?」
桜先輩も今年からの入部とのことで、出し忘れていた正式な入部届を慌てて取りに行っていたらしい。
直先輩が思わせぶりなことを言ったのでホラー系の苦手な妹はガチ泣き寸前だった。
ちなみに直先輩は前部長に説教されている――
―― 解説 ――
777文字のオリジナルは、
https://kakuyomu.jp/works/16817330654722097156
で公開しています。
いつもの主人公視点でなく、目先を変えて、後輩姉妹の姉視点での話となっています。
また、当初は本物の幽霊部員ネタとして考えていたのですが、面白みや今後の登場人物のバリエーションを考慮して、実在人物となり、ホラー路線は没りました。
後、場面転換用の ◆ ◇ ◆ ですが、どうしょうもない文字数調整のために増減したのは内緒です。
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