第1話 復元
その男は突如、目を覚ました。
「…知らない天井だ」
そして、寝る前のことを思い出そうとして、
思い出そうとして…
・・・・・
「あれ、全く思い出せない。そもそも記憶が一切ない」
あれ、あれ、えっ、えっ、えっ、なぜ、なぜ、Why、What。
一人困惑していると、人が部屋に入ってきた。
彼女は言った、
「あら、起きられたのですね。あなたは海岸に流れついていたんですよ。なんであんなことになっていたんですか。」
「すいません。僕には一切記憶が、あっなにか大切なことがあったような…。すみません。やっぱりなにも思い出せません。」
「えっ、もしかして記憶喪失ですか…。ちょっと先生呼んできますね。」
彼女が部屋をでる。あらためて、部屋を眺めてるとそこは病室で、俺はベットに寝ているようだった。
彼女が呼んでくるまで、部屋をボーと眺めていると。
ドアが開き、恰幅の良い、人のよさそうなおそらく医者が、彼女おそらく看護師と一緒に入ってきた。
医者は俺に向かって言った。
「記憶障害があるようですね。本当に今も何も思い出せませんか」
俺が頷くと。
小さく溜息をつき、
仮の戸籍を作る必要がありますが、検査をすれば、外にでても良いでしょう」
と少し困ったように言った。
その後、様々な手続きや検査を済ませ。3日後に病院を出た。
俺、
一週間後ついに、バイト先が見つかった。
俺は、そこでしばらく、汗を流して働くことにした。
ところで、俺は諸々の買い物を近くのショッピングモールでやってるんだが、昨日不思議な人がいた。
その男は、俺がショッピングモールにあるゲームセンターを通った時なのだが、その中でキョロキョロと周りを見て、困っているようだった。
俺がその男に声をかけるとその男は、
「ゲームができない」
と言うのだ。
俺がなぜわからないのだと思いながら、
「あの機械にお金を入れてメダルを入れればいいですよ」
と言うと、その男は、
「それは知っているんだが、お金がないのだ。」
と言ったのだ。
俺は呆れたが、バイト代が入って浮かれていたから、これもなにかの縁だと思って。
「これだけあれば足りるでしょう」
と三千円札をわたした。
男は、その浮かない顔を笑顔に変え、
「助かる。なにかあったら出来るだけのことは叶えてやろう」
と言って楽しそうに人混みの中に消えていった。
俺は頼むにしても連絡先もなにも知らないんだがと思いながら、帰路についた。
さて、今日は月に一度の通院の日。俺は、念のためしばらくは通院することになっているのだ。
今日も、あの時の看護師さんが、
「ようこそ佐藤さん」
と彼女は微笑みながら出迎えてくれた。
そして、診察室に通された。そこには、例の恰幅の良い医者がいた。
諸々の検査が済み。帰りも彼女が見送ってくれた。
「さて、なんとなく飲みたい気分だから、今日は飲むか」
と、ほかに誰もいないアパートの一室で、誰の返事も期待せず、俺は言った。
目が覚めた。狭い部屋の少し湿ってきた、薄い布団の中に俺はいた。
「あー。なんか夢を見たきがする…。まあいいや、今日の予定はっと、えーと、午前中は………
目覚めてから1年の節目だからと、少しだけ高そうな店に行ってみた。
高いと言っても余程高いわけじゃないので、普通に食って、普通に飲んだ。
その帰り道、俺はあのゲーセンの男にあった。その男の方からこちらを見つけたようで。
「おーい、あの時は助かった」
と笑いながら声をかけてきた。続けて、
「ところで、願いは決まったかね」
と尋ねてきた。
その時の俺は酔って、正常ではなかったようで、男に、
「俺の記憶を戻してくれ」
と言った。
すると男は、
「もちろんできるとも」
と言い。続けて
「しかし、」
と言おうとしてやめたようだった。
その時の俺はたいして気に留めず。
「頼んだ」
と言って、家に帰り、床に就いた。
朝起きると俺はなぜか全てを思い出していた。
「そうか、ここは別の世界か何かで、もといた世界で、謎の亀裂に吸い込まれて…」
このことを病院、彼女に伝えようと思い、家をでる準備をし、ふと思ったことが口に出た。
「なにがきっかけで思い出したのだろう」
と。
さて、ビルの屋上で数キロ先で行われている結婚式の様子を透視を使って見て言った。
「記憶を取り戻し、初恋の人とも結婚出来て良かっな」
しばらく黙り、そして、
「我のことを忘れてしまったのは、少し寂しいが…。お幸せに」
そう言うと、男は、透視を切り、のびをした。
後ろを向くと、
「さて、次はなにをしようかなあ」
と言い、男は静かにどこかに消えていった。
願い 失われた記憶の復元
代償 悪魔との記憶
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