第99話 女性の喧嘩はなんか怖い
トップランカー2人を加えた俺たちのパーティは驚くべき速さでダンジョンを攻略して行く。
ボス相手にも苦戦する事はなく、万全な状態で5階層に到達する事が出来た。
俺たちがダンジョンに潜って既に1日が経過しているが魔人の姿は見当たらない。
「ふむ…此処にもおらんか。
儂もそう長くは留守に出来ん。
明日、6階層に行ってみよう。
それより下層は臨時パーティで挑むには危険んじゃ。儂の到達階層は7階層。6階層ボスは正規パーティでようやく倒せた相手じゃ。
連携が上手く取れない儂らで挑む訳には行かん。」
現在、日本での最高到達階層は東京代表の鳳凰院聖也の8階層までだ。
他の探索者は7階層で止まっている。
つまり魔人が8階層以降を拠点としている場合、俺たちに奴らを見つける事は出来ない。
「……貴方たちは何レベル?
悪いけど60レベルに到達していないなら置いていくべき。
庇いながら戦える相手じゃない。」
普段、全く声を出さない西園寺が口を開いた。
俺は現在60レベル。
レベル的には7階層クラスに到達している。
そして問題は金城さんだ。
魔人戦でレベルアップしたようだが現在のレベルは49。5階層のボス戦でレベルアップを果たしたとしても50。60レベルには到達しない。
「…私は実力不足という事ですか。」
「悪いけどそう言わざるを得ない。
貴方は榊草介に引っ付いて来ただけ。
元々、私たちは彼を含めた3人で潜る予定だった。これ以上は邪魔。」
「おい!そんな言い方——「いいんです!」
あまりのいい草のムッとした俺を金城さんが止める。
「ずっと前からわかっていたんです。
草介さんは私なんかといるより、もっと実力が上の人と組むべきだって。
小郡さんと組んで活躍している草介さんを知る度にせめて邪魔にならないくらいには強くならなきゃって思ってました。
……西園寺さん、私の実力じゃ皆さんについて行く事は出来ませんか?」
西園寺は言葉を発する事なく、首を縦に振る事で肯定の意を伝える。
虎吉にも視線を向けると、彼は何かを決心したように話し出した。
「嬢ちゃんは強い。同レベルの探索者と比べれば十分いい線を行っとる。このまま順調に育てば3年後にはトップランカーに入る逸材じゃろう。
じゃが、現段階で儂らと比べ劣っておる事は紛れもない事実じゃ。時期を焦らず堅実に育て。それが嬢ちゃんの為じゃ。」
虎吉の言葉に何も言えなくなる。
金城さんの為を思うならこの場は置いて行って確実にクリア出来る状態でボス戦に挑ませるのがいいのだろう。
こんな急に組んだ臨時パーティなどではなく、相性などをしっかりと理解した正規のパーティで。
金城さん自身もそれはわかっている様子だ。
俯きながら何かを考えていたようだが、遂に彼女が顔を上げた。
「皆さんの考えはわかりました。
でも、此処で置いて行かれたら私は二度と草介さんに追いつけない…そんな気がするんです。だから——西園寺さん、私と戦ってくれませんか?」
「は?決闘だって!?こんな状況で何を…」
「よせ。彼女の目を見るんじゃ。覚悟を決めとる。ああいう状態の人間は簡単には引き下がらん。どうやら西園寺も受けて立つ様じゃし…儂らは魔人に警戒しておくぞ。
敵ならこういう消耗している時を狙うはずじゃ。」
刀を抜き、茉央と対峙する西園寺。
「ありがとうございます。」
杖を構え、いつでも魔法を撃つ準備をする茉央。
彼女たちの決闘が始まる。
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