第85話 魔人戦②
那覇ダンジョン??階層
草介が魔人と対峙している中、時同じくして下層へと落ちた2人の前にも魔人が現れていた。
「貴方は…」
蛇の様な下半身と人間の上半身。
神話で耳にするナーガの様な見た目の魔人だ。
そして、この人物に茉央は見覚えがあった。
「久しぶりだね♪茉央ちゃん♪」
不気味な笑みで話しかけてくる。
「あの人?みたいなの知り合い?名前呼んでるけど…」
「…昔、私をパレードの囮にしたパーティのリーダーです。名前は
囮にしたという言葉を聞き、明美が透吾を睨みつける。
「アァァ、イイね。隣の女の子もすっごくイイ♪茉央ちゃん♪僕はね、初めて君を見た時から美しいと思ってたんだ。つぶらな瞳、艶やかな髪、引き締まった肉体、そして純粋な心…全て僕の物にしようと思ってたのに…
まさか、あんな場所でパレードに遭遇するなんて…運命って残酷だよね。でも、こうしてまた会えてよかった。」
声高らかに話しながらジリジリと詰め寄って来る。
「僕が何故1人で来たかわかるかい?
邪魔されたくなかったんだよ。君との時間を。」
「貴方この子のストーカー?そんなんじゃ嫌われるわよ。」
「別に茉央ちゃんが僕を嫌おうと関係ない。僕はただ…その純粋な体と心を犯し尽くしたいだけなんだから♪」
聞くに耐えないその言葉に明美の堪忍袋の尾が切れ、身の危険を感じた茉央も反射的に攻撃を仕掛ける。
「
「炎帝」
土の拳と炎が透吾目掛けて同時に放たれる。
攻撃範囲が広く、前方を埋め尽くされていた。
「へえ、いい力じゃないか♪
だけど…弱過ぎる。【地帝】」
洞窟内の壁が形を変え、透吾の前に盾の様に立ち塞がった。
2人の攻撃がダンジョンの壁に遮られてしまう。
「ダンジョン内において僕の力は最強さ。」
目は逸らしていない。ずっと見ていた筈なのに、一瞬にして2人に前から透吾の姿が消えた。
どこに消えたの!?
周囲を警戒するが見つからない。
そんな中、急に背後から声が聞こえてくる。
「ほーら、捕まえた♪」
いつの間に…
「
手が触れる寸前、間一髪スキルを発動し体を護ることに成功する。
「あんまり抵抗しない方が良いよ?
どうせ犯られるなら、気持ちいい方がいいだろ♪」
距離を取った茉央は明美と隣へと移動する。
「あいつ、気持ち悪いわね。」
「元々イヤらしい視線は感じてたんですけど…まさかあんな事を考えてたなんて思いませんでした。」
「幾ら逃げたって無駄だよ〜。君らじゃ僕に勝てないから。茉央ちゃんは結構強くなってるみたいだけど僕には遠く及ばない。スキルの相性も悪いしね。横の女の子は論外だ。スキル自体は僕と似てるけど完全な劣化版。レベルも低そうだし、完全に足手纏いだよね。」
【
茉央の【炎帝】はスキルとしての効力は同等だが、炎と大地では相性が不利である。
「絶対に何か弱点があるはず…それさえ見つければ…」
「茉央ちゃん…私が囮をやる。どんな些細な事でもいいから隙を見つけて。大地操作の弱点は体が地面に触れていないと発動出来ないところ。水中や空中ではスキルを発動出来ないわ。」
同系統スキルを扱っている者だからこそわかる弱点。自身の弱点ともなり得る情報を茉央に渡した。
茉央、貴方を信じるわよ!
戦況を変えるため、決死の囮作戦が開始する。
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