第82話 最初に敬語で喋るとタメ口には戻し難い

 那覇ダンジョン5階層


 砂浜と湖が広がっており、湖の中心には小さな孤島が見える。


 あの孤島、あからさまに怪しいな。どう考えてもあそこに何かありそうだが…一応砂浜も捜索してみるか。


 再びムカデを出し、砂浜の捜索に向かわせる。


 さて…俺はあの孤島に行く方法でも考えるか。泳いで行くには距離があり過ぎるし、何かに乗って行くのが妥当だと思うが問題は湖の中に魔獣はいないかだよな。渡っている最中に襲われでもしたら面倒だ。


毒邪龍ヒュドラ



 毒邪龍ヒュドラの背に乗れば安全に湖を渡れる。毒邪龍ヒュドラとは確かギリシャ語の水蛇を由来とされ付けられた名だ。俺の毒邪龍ヒュドラがそれと同一かはわからないが、見た目も似てるし湖くらい泳げるだろ。


 念の為、砂浜を探索しているムカデの帰りを待ってから先へ進む事にした。







 那覇ダンジョン??階層


 一方その頃、罠に嵌められ見知らぬ洞窟内へと落ちた2人は上の階を目指し歩いていた。


 2人の周りには2羽の炎の鳥が飛んでいる。


「こうしておけば、灯りも確保出来ますし、いざという時は攻撃にも使えます。注意して進みましょう。」


 この炎の鳥は茉央のスキル【炎鳥ファイアバード】であり、灯りと警戒の役割を兼ねている。暫く歩き続けているが、魔獣に出会う事もなければ、出口が見つかる気配もない。


「出口、見つからないですね。」


「そうですね。道も迷路みたいに広がってるし、どう進めばいいかもわかりませんし……どうかしましたか?」


 他愛のない話をしていると茉央がジッと明美の顔を見つめていた。


「いえ、その……ずっと気になってたんですけど私に対しても敬語なんだなって…私、明美さんより年下なので別に敬語じゃなくていいですよ?」


 明美が茉央に敬語を使っていたのは、自分より茉央の方がレベルが上だからである。例外もあるが探索者にとってレベルとは、その人物がどれだけダンジョンに潜っていたかに比例する。自分より上という事はそれだけ歴が長いことを意味する為、レベルが上=年齢も上のパターンが多いのだ。よって当初は茉央の年齢を勘違いしており、歳が判明した今もなんとなく訂正出来ず現在に至る。


 羨望の眼差しで見つめる茉央。

 その目に負け、恥ずかしさを堪えながら明美は口を開いた。


「えっと…改めて、茉央…ちゃん…よろしくね。」


「はい!明美さん!改めましてよろしくお願いします!」


 名前を呼ばれた茉央はパーっと笑顔になり、明美と勢いよく握手をした。





 ??階層


 暗闇に人間と呼ぶには余りにも歪な形をした生き物と、2人の人影が並んでいる。


「朗報だよ。榊草介の野郎もこのダンジョンに来てる。」


「へえ、だとしたら作戦が少し変わっちまうんじゃねえか?せっかくあの女を此処まで落としたのによ。」


「心配しないで♪男の方はコイツにやらせる。あの男に一番恨みを持ってるのもコイツだしね♪」


 人影は歪な形をした生き物を指差した。

 その生き物は草介の名前に反応し、唸り声をあげている。


「さあ、楽しいパーティの始まりだ♪」


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