第81話 犬も狼も殆ど一緒

 ヘルハウンド…那覇ダンジョン4階層のボスで素早い動きと灼熱のブレスが特徴の魔獣。ヘルハウンドが通った後には炎の軌跡ができ、一説には4階層の燃え盛る大地はヘルハウンドが駆け回った後だとも言われている。


 ヘルハウンドが草介の前から一瞬にして姿を消した。次の瞬間、草介の周囲が炎で囲まれ動きが制限される。


 奴が通った跡から炎が出るのか……動きも素早い。長期戦だと不利になるな。まあ最初から長引かせる気もないが。


「2人もいない事だし…本気でやらせて貰うぞ。」


 ヘルハウンド程度の相手とは何度も戦って来た。素早い相手には広範囲攻撃と相場が決まっている。


邪毒ヴェノム麻痺パラライズ


 大量の毒が溢れ出し、周囲一帯の足場を覆い尽くす。


邪毒ヴェノム】は【猛毒ヴェノム】に【範囲麻痺パラライズエリア】などのその他状態異常スキルを統合する事で出現したスキル。その効果は通常の猛毒ヴェノムに状態異常スキルを付与し、毒の性質を変化させる事が可能になった能力だ。

 今回使ったのは麻痺毒。触れれば身動きを取る事さえ出来なくなる猛毒だ。


 危険だと理解しているのか、ヘルハウンドは毒を避けるように動き回る。しかし大地は徐々に侵食されていき、とうとう逃げ場を無くし唯一侵食されていない岩場へと飛び移った。


「避けるならそこだよな。」


 先回りしていた草介が背後から現れ、ヘルハウンドの首を一刀両断した。


 草介は麻痺毒を避けられた時の場合を考え、ヘルハウンドの動きを誘導するように毒を操っていた。事前にこの岩場に身を潜め、機会を伺っていたのだ。


「これで次の階層に行けるか。……この階層に罠を仕掛けた犯人はいないみたいだし、さっさと進むか。」


 捜索に回していたムカデからは何の反応もない。一応、消えたらわかる仕組みにはなっているが特に消された様子もない。


 犯人は一体何の目的で俺たちを罠に嵌めたのか……俺たちの中の誰かを狙った犯行か、もしくは無差別に仕組まれた罠なのか…どちらにしてもこの階層に来てる時点で中級以上の探索者である事は確かだ。

 既にダンジョンを出ているならまだいいが、下層にいる場合は厄介だな。捜索の邪魔をしてくるだろうし、下層に行く実力もあるという事だ。7階層以降にいるのであれば俺よりも実力は上という事になる。


「気を引き締めていかないとな。」


 ムカデ達の探索を一旦引き上げさせ、5階層へと進んで行った。その姿を遠くから何者かが見ている。


「まさかあの男まで生きてるとは……金城しか見つけられてなかったから既に死んだと思ってたが生きてたとはなぁ。待ってろよ。お前にも地獄を見せてやる。」


 謎の男は地面と同化する様に姿を消した。



 ━━━━━━━━━━━━━━━━

 よろしければフォローと☆☆☆よろしくお願いします!!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る