第77話 砂漠の夜は寒いらしい

 俺たちの臨時パーティは順調にダンジョンを攻略して行き、現在は3階層まで来ていた。

 ダンジョンは地域によって特性があり、出現する魔獣や階層の作り方などが違う。

 例えば、那覇ダンジョンは炎系統の魔獣が出現し、灼熱の大地と化している階層が多い。逆に札幌ダンジョンだと氷系統の魔獣や雪原地帯の階層が多く存在している。


 那覇ダンジョン3階層は砂漠となっており、魔獣だけではなく、その大地も探索者に牙を向く。


「2階層だと休める場所が少ないんですけど、3階層にはオアシスって呼ばれてるセーフティポイントがあるんです。寝泊まりするならそこがいいですよ。」


 この中で一番那覇ダンジョンに詳しい金城さんに案内して貰い、1日で3階層まで到達するべくハイペースで進んだ。

 時刻は夜になっており、現在はオアシスで野営をしている。炎を取り囲みながら、乾パンなどの携帯食料を食べ、明日に備えて作戦会議を始めた。


「このメンバーだと3階層までは楽勝でしたね。3階層のボスはデザートイーグルと呼ばれる鳥型の魔獣です。空中から放たれる空気砲が強力で遠距離魔法を持っていないと少し厳しい魔獣になります。」


 俺が60、金城さんが48、明美が35レベルなので3階層までは問題なく攻略出来るだろう。


「でしたら金城さんと私でなんとかなりますね。榊さんは……空にいる相手に何か出来ますか?」


 こいつ、攻撃魔法がない俺を馬鹿にしてやがる。別に毒邪龍ヒュドラを使えば空にいる相手くらいどうにでも出来る。


「でも地上戦では草介さんが一番強いんですから、私たちが落としたらとどめお願いしますね。」


 少し険悪な雰囲気になったのを悟ったのか金城さんが慌てて俺をフォローしに来る。


「了解。ただ、鳥型の魔獣って事は風系統のスキルを使うんでしょ?だったら毒は使わない方がいいかも知れない。自分たちの方に跳ね返されても困るし。」


 自分で言うのもなんだが、俺の毒は強力だ。耐性のない人間が食らえば、毒消し草なしでは1日も経たず死んでしまうだろう。

 念の為、錬成で作った解毒薬を持ち歩いてはいるが、わざわざ危険を冒す必要もない。


「作戦会議もこの辺にして、明日に備えてそろそろ休みましょう。」


 炎を消し、それぞれのテントで就寝する中、俺が見張りをする。

 ダンジョン内では完璧に休まる事はなくパーティで入った場合、交代制で見張りを行うのが暗黙の了解だ。ソロの場合は常に周囲を警戒しながら寝なければならない。その為、ソロの経験が長い俺は見張り中でも体を休める事ができる。


「草介さん、お休みなさい。」


「うん。金城さんもお休み。」


 挨拶をし、金城さんがテントへ入っていく。明美も声をかけてはこないものの、俺を見て軽く会釈をし、自身のテント内に消える。


 こういうところはちゃんとしてるんだよな。ただ、俺の事が嫌いってだけで。氷華といるのがそんなに気に食わないもんかねぇ。


【感知】を発動し、周囲を警戒しながら草介は瞳を閉じた。


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