第59話 那覇ダンジョン奪還作戦 四獣戦⑤

 氷狼と3体の魔獣の衝突は、氷狼が押し負ける形となった。大抵の魔獣であれば氷狼に触れた途端に凍り出すのだが、敵の力も大きい為、表面が僅かに凍る程度のダメージしか与えられなかった。


 氷狼神フェンリルに触れて無事なんて…やっぱりこいつら只者じゃない。

 取り敢えず戦力を分散しないと話にならない。戦況はまだまだ私が不利。唯一勝つ手段は残っているとしたら、この中にいる筈の元凶に狙いを絞って倒す事。それ以外にない。


 コカトリス、サンダーバード、ヘルデモンワームの三体のどれかがスタンピードを起こした元凶だ。正直、フロストウルフを含めた4体の強さに差はない。1体が元凶だとして残りの3体が逃げ出す程の強さとは思えない。

 ……嫌な予感がする。もしかしたらだけど、この考えが一番辻褄が合う。


「まさか…4体全部が元凶って事は無いよね。」


 最悪のパターンを想像してしまった。確証はない。だが不思議と自身の考えが当たっていると思ってしまう自分がいる。


「参ったなぁ、勝ち目ないかも…」


 大地が揺れたかと思うと、ヘルデモンワームが地中に潜り出す。


 逃げ出した!?いや、違う。防衛部隊方面に向かったんだ。マズい…向かうは1〜2階層クラスの探索者しかいない。今、ワームを行かせると全滅してしまう。止めないと!


 地中に潜らせないよう氷帝で地面を凍らせた。しかし、コカトリスに妨害されてしまい炎で氷を溶かされてしまった。


 駄目だ。ワームを食い止めきれない。氷狼神フェンリルはサンダーバードの足止めで精一杯。どうすれば……


 ワームの様子がおかしい。


 先程までは地中に潜っているのかと思っていたが、今はのたうち回っている。


 どういう事?地中に潜ろうとしたのは防衛部隊を襲う為じゃない?それ以外の目的でワームが地中に潜るとしたら……体力の回復?

 でも、そんなにダメージは受けてない筈。それに暴れ回っている理由がわからない。

 まるで今尚誰かに襲われてる様な。そんな感じ……まさか!


 ワームが大人しくなったかと思えば口から毒龍が飛び出して来た。それと同時に人影が宙を飛び小郡の近くに降り立つ。


「あー、本当に死ぬかと思った。」


 その人物はヘルデモンワームに食べられた筈の人物、榊草介だった。


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