第58話 那覇ダンジョン奪還作戦 四獣戦④

「草介!!!」


 嘘…草介が…草介がやられた。


 無茶しているのはわかってた。だけど、この方法でしか倒せない事を理解していた草介は危険だとわかっていながらも自分でこの提案をして来た。その覚悟を尊重して私は彼が引き付け役になるのを承諾した。最速で倒して彼を助けるつもりだった。それなのに…


 私、間に合わなかった…ごめん…ごめんね、草介。


 草介の敗北に気を取られ、一瞬だが隙ができてしまった。その隙をフロストウルフは見逃さない。持ち前のスピードを活かした巨体での突進で小郡を吹き飛ばす。


「あーあ、悲しむ暇すら与えてくれないなんて……ほんと嫌になっちゃう。」


 悲しんでいる暇はない。草介が負けたという事は次のターゲットとなるのは小郡なのだから。


 残りの3体が来る前にフロストウルフは倒す。じゃなきゃ私は終わり。草介が命懸けで稼いでくれた時間…無駄にする訳にはいかない!


 剣技と魔法の複合スキル【氷剣の舞】を発動する。


 周囲一帯の氷の剣を生み出し絶え間ない斬撃を与え続ける小郡氷華の最大連撃。体に突き刺した氷剣からは冷気が放たれ、氷剣をその身に受ける程凍結により身動きが取れなくなる。


 同じ氷属性のフロストウルフだが、単体の氷魔法の威力は小郡が上だ。敵の冷気を上回る冷気を放ち凍り付かせる。連撃の末、フロストウルフの全身は凍りついた。


「これでお終い。」


 最後の一太刀が首を斬り落とす。凍った体は砕け散り、霧散していく。


「こいつじゃなかったか…」


 周囲の魔獣が戻って行く気配はない。フロストウルフは元凶の魔獣ではなかった。3体の大型魔獣が小郡を見つめている。フロストウルフが倒された事で警戒しているのか、距離を保ったままだ。


 マズイな。サンダーバードはなんとか出来るけど、相性的にコカトリスとヘルデモンワームはキツい。


「出来るだけやってみますか。」


 小郡の背後に巨大な氷狼が現れる。その姿は先ほどのフロストウルフと似ていたが、こちらの方が一回り以上大きい。


氷狼神フェンリル】…小郡氷華最大火力のスキルであり、絶対零度の巨大な氷狼を操る。


 今までこのスキルを使わなかったのには幾つか理由がある。一つは草介の存在。このスキルは小郡自身も制御しきれていない部分があり、周囲を巻き込んでしまう為、同等以上の力を持った人間以外は耐えられない。

 もう一つは魔力の消費量。このスキルは膨大な魔力を使用する為、一度使えば数時間は使えない上、少しの間身動きが取れなくなる。戦闘中の体が動かなくなるのは致命的な欠陥であり、小郡はこのスキルを滅多に使用しない。


「草介の仇、取らせてもらうよ。」


 氷狼と3体の魔獣が衝突する。


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