第55話 那覇ダンジョン奪還作戦 四獣戦①

 ダンジョンへ近付くにつれて魔獣の数は減っているが、一体一体の力は強くなっていた。


猛毒ヴェノム】だけじゃ倒せなくなってきたな。【意識喪失シャットアウト】も通じない魔獣が増えて来たし…ここからが本番という事か。


「草介。たぶんこの先にいる魔獣のどれかが元凶だと思う。ただ数が多いから私一人だと逃げられる。だから草介は足止めをお願い。パッと見、5階層ボス以上の力を持ってる。今の草介じゃ絶対に敵わない。」


 二人の目に映るのは巨大な4体の魔獣。


 口から炎を吐き、周囲を溶かし尽くすニワトリと蛇を混ぜたような体を持った魔獣・コカトリス


 歩いた先から大地を凍らせ移動する巨大なオオカミ型魔獣・フロストウルフ


 羽を動かす度に起きる爆風で周囲の建物を崩壊させ、天空を操る魔獣・サンダーバード


 そして先程倒したヘルワームの上位種、体中から毒の粘液を垂れ流し全てを溶かし尽くす魔獣・ヘルデモンワーム


 どれも単独で討伐するのは困難とされている凶悪な魔獣たちだ。


「わかった。ヘルデモンワームは俺が貰う。毒耐性もあるし、あの中で一番戦えそうなのはアイツだからな。」


「ありがと。正直、私の毒耐性じゃ足りないかもって思ってたから助かったよ。他3体は私が貰うね。」



 1人で3体か…足止めだけと言ってはいたが小郡の救援は期待しない方がいいだろう。俺1人でヘルデモンワームを倒すくらいの心構えじゃないとダメだ。

 ベストなのは小郡の相手する方に元凶がいるパターン。偶然でもいいから倒してしまえば残りの魔獣は全てダンジョンへ帰る。俺が勝たずとも大丈夫という訳だ。


「死ぬなよ。」


「そっちこそ。無茶しないでね。」


 顔を見合わせ、2人は反対方向へと分かれて行く。


【隠密】で自身の存在を悟られないようにし、屋根伝いにヘルデモンワームへと背後から接近する。


 遠くで大きな音がして、巨大な氷塊現れる。


 向こうは戦い始めたな…小郡、頼んだぞ!


 意識をヘルデモンワームへ戻す。

 まるでこちらに気付いている様子もなく、ただひたすらに街を破壊し、暴れ回っている。


 一撃で決める!!

 仮に倒せなくても、それなりのダメージは与えられるはずだ。


【霧時雨】を発動しトロール戦同様、極限まで力を高める。


 どんな魔獣でも頭を斬られて無事な奴はいない。これであの魔獣の首を獲る!!


【加速】を発動し、一気に射程距離まで接近する。そのまま刀を振り抜き、【霧時雨】をヘルデモンワーム目掛けて飛ばした。


 気付いてない——貰った!!


 霧時雨は背後からヘルデモンワームの頭部へと直撃する。ヘルデモンワームは前のめりに倒れ込んだ。


 やったか?首を斬るとまではいかなかったがそれなりのダメージは与えれたは…ず…


 ダメージを確認するため近づくいた草介の目に映ったのは、傷一つ付いていないヘルデモンワームの姿だった。


 あの体…傷一つついていない…霧時雨がまるで効いてないだと!?どんな肉体をしているんだ。霧時雨は俺の最大火力だぞ!?


 絶対貫通がある上で霧時雨が効かないという事は再生の力を持っているという事。つまり草介ではダメージを与えられない事を意味する。


 俺にこいつが倒せるのか?


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