第46話 お金の管理はキッチリと

「じゃあ半分に分けよっか。これ50万ね。


 報酬で受け取った100万を半分に分けようとすると金城は焦ったような表情で拒否する。


「待って下さい。ダメですよ。そんなに貰えません。私、レッドスライムしか倒してないし…それに装備の代金もあるので10万とかでいいです。」


 10万円…おそらくレッドスライムの報酬20万を二人で分けた額といったところだろう。


「それはダメだよ。元々報酬は半々にするって話で組んでるんだから。どっちかが多く貰うっていうのは話が違う。」


 別に装備代をなんとも思っていないわけではないが、ある程度落ち着いてから返してくれればいい。高校を卒業したばかりの女の子にそこまで請求したくない。

 それに報酬も思ったより高い。これなら80万くらいすぐに貯まるし気にする必要もないだろう。彼女には体の弱い母親がいるんだ。そちらを優先して貰わないと。


「……じゃあ、クエスト代の半分の25万円でどうですか?臨時報酬と情報提供料は私、まるで関わっていないので…」


「ダメだ。あれは金城さんが見張ってくれたり、後ろに控えてくれてたから安心して戦えたんだ。はい、これ50万。」


 無理矢理バッグごと渡し、ギルド内にあるATMに入金しに行く。後ろで何か言っているが聞こえないフリをする。


 今まで稼ぎ少ないから現金で貰ってたけど、今度から口座に振り込んで貰お。その方が金城さんも受け取らざるを得ないから楽だし。


 入金を終えた俺はギルドを後にした。金城さんが何か言ってたがお金を受け取れないという内容だったので全部無視した。フォローは隆二がなんとかしてくれるはずだ。金城さんとは明日また話せばいい。クエストに行く約束はすでにしている。


 この時は思いもしなかった。まさかあんな事になるとは。







 時刻は深夜3時

 眠っている俺の携帯に1本の着信があった。


「誰だよ。こんな時間に…」


 憂鬱ながら携帯を手に取ると、相手は隆二。


「なんだ、隆二かよ。嫌がらせか…」


 暫くの間、無視していたが中々鳴り止まない。一度止まったかと思うとまた直ぐに掛け直してくる。いい加減頭に来た草介は電話に出た。


「うるせえ!今何時だと思ってんだ!」


「それどころじゃねえ!急いで装備整えて外に出ろ!魔獣が……魔獣が地上に出て来たんだよ!」


 慌てて外の様子を見に行くとギルド方面に大火が広がっている。


 皆が恐れていた事態が遂に起きた。


 この現象は【スタンピード】と呼ばれ世界中から恐れられる事となった。


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