第45話 知り合いだからって気を抜くもんじゃない

 クエストを終えた俺たちは、適当な場所で狩りに勤しんでいた。素材集めとレベルアップが目的だ。


「それにしても、結構湧くね。2階層だと普通なのかな?」


 先ほどから魔獣と戦い続けている。しかもその全てが4〜10体で行動しており、パレードとまでは行かないが数が多く少し厄介だった。

 1階層では基本的に1体で行動している魔獣が多かったので、集団行動をとる魔獣は珍しい。


「そうですね。私も魔獣は集団行動をしないものだと聞いていたんですが…」


 金城さんも違和感を感じている。まだ倒せているのでいいがパレードになるとそうはいかない。不測の事態が起こる前に戻るか。


「金城さん。今日はもう帰ろう。レベルアップは出来なかったけど素材は十分集まったし。準備を整えてもう一度来た方がいいかも知れない。」


「そうですね…わかりました。帰りましょう。」


 ギルドへ帰る支度を整える。


 因みに、帰り道もボス部屋を通るので再度トロールと戦わなければいけない。3回目だし金城と協力した事も相まって、すぐに倒すことが出来た。






「おう!随分早かったな〜。帰って来る予定はまだまだ先じゃなかったか?はは〜ん。さてはクエスト失敗したな〜。」


 いつも通り、受付で最も人気のない隆二のところへ行く。隆二は相変わらずといった調子でのほほんとしていた。


「クエストは終わってるよ。ほら。」


 魔法鞄マジックバッグからサラマンドラの鱗とレッドスライムの粘膜を取り出す。


「え!マジかよ。それなりに慣れた奴でももうちょいかかるっての…ってかそれ、魔法鞄マジックバッグじゃねえか!もう見つけたのかよ。」


「まあな。情報になるかはわからんがトロールを倒したらドロップした。」


「そうかい。ちょっと待ってな。」


 ガサガサと資料を漁り出す。

 暫くすると受付の奥へと向かい、バッグを持って帰ってきた。


「それじゃあ、まずはクエストの達成報酬がレッドスライム20万、サラマンドラ30万と臨時報酬10万で計60万円だ。後、さっきの魔法鞄マジックバックの情報提供が40万で合わせて100万だ。受け取れ。」


 バッグを開けるとそこには札束が入っていた。


「情報提供ってそんなに貰えるのか?1万とかそんなもんって聞いてたけど。」


「基本的には1〜10万ってのが相場だな。マップとか魔獣の情報が殆どだし。魔法鞄マジックバックの情報売るやつが少ねえんだよ。自分でまたゲットして売ったら億貰えんだから当然っちゃ当然だが。いっぱい集められると価値が下がるだろ?だからだよ。」


 しまった…その手があったか。思いつきもしなかった…


 落ち込んでいる俺を見て隆二はケラケラ笑い出す。


「何も気付いてなかったって顔だな。心配すんな。お前一人の情報じゃあ大した影響は出ねえよ。」


「それもそうだが…じゃあもう少し情報提供料を上がったりはしないか?貴重な情報なんだろ?」


「無理だね。なんせ確証もないしお前が倒したトロールだって通常種じゃねえんだろ?変異種が出る確率がそもそも分かんねえんだ。その上、ドロップするかどうかも運次第ってなると見つからねえって言ってるようなもんだよ。そんな情報に40万でも高い方だ。黙って受け取れ。」


 ぐうの音も出ない。不確定か情報にここまでの金額を払ってくれた事をよしとするべきか。


「……わかったよ。」


 ━━━━━━━━━━━━━━━━

 よろしければフォローと☆☆☆よろしくお願いします!!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る