第42話 勢いは結構大事

「ごめんなさい!」


 様子見のつもりが勢い余ってレッドスライムを倒してしまった。そんな凡ミスを犯した事を反省し彼女が謝る。


「いや、倒せるならいいっちゃいいんだけど…情報も少しは欲しかったかな〜って。」


 別に倒せるならそれに越した事はないのだが、敵のことを何も知らないというのはいざという時に少し怖い。


「まあいいや。こうなったらこのまま二人でレッドスライムを討伐しよう。いざって時は二人で対処すればいいし、何事もなければそのまま魔女の手で狩り尽くして終わりだ。」


 元々は明日で終わらせる予定だったが、こうも簡単にレッドスライムを倒してしまうのならいっそ今日中に終わらせてしまうのも悪くない。残りを倒してサラマンドラの方へ向かえば夜には帰れるだろう。


「わかりました。それで行きましょう。」


 その後、レッドスライム狩りは特に異変が起こる事もなくスムーズに終わった。上手い具合に固まっている所を見つけた為、20体を狩り尽くすのにそう時間はかからなかった。


 大群と戦い戦い終えた金城さんは外傷こそないものの、魔力を使い果たしており、少し呼吸が荒くなっている。


 現在二人は魔獣が発生しなさそうな岩場で休憩している。


「大丈夫?魔力枯渇って大変なんだね。俺、今まで魔力なかったからわかんなくて。」


「気にしないで下さい。これでも【自動回復】があるんで他の人よりマシだと思います。後30分もしたら動ける魔法も使えるので…」


 呼吸が荒い…魔力が枯渇すると意識を失う者もいると聞く。金城さんは【自動回復】の効果で0になる事はなく、気絶するまではいかないのであろうが、辛いことには変わりないだろう。


 二人で休息していたその時、念のために発動していた【感知】に何か引っ掛かる。金城さんもその気配に気付いたようで、二人は目を見合わせた。


「草介さん…」


「金城さんはここでじっとしてて。ちょっと見てくるから。」


 気配の元を確認しに行くとそこには赤色のオオトカゲのような見た目の魔獣がいた。


 あれは確かサラマンドラ。それも丁度10体か。しっかりクエスト分やって来やがったな。しかしあの見た目…まるで小さなドラゴンの様だ。しかし、タイミングが悪い。今は金城さんが動けないっていうのに。


 情報を共有する為、金城に待つ岩場へと戻ることにした。


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