第41話 本末転倒では意味がない

 金城さんが対峙するのはレッドスライム4体。今のところ知っている情報はあの液状の体が高熱ということ、それだけだ。


 正直、金城さんでは不利だと思っている。高熱の体を持っているということ、そして2階層が灼熱地帯だという事を踏まえるとレッドスライムは炎属性の魔獣の可能性が高い。

 魔法はスライムに有効なのはわかっているが、金城さんが持ち合わせている攻撃スキルは炎、風の二種類。【氷壁アイスウォール】はあくまでローブに付与されているスキルだし、防御魔法だ。攻撃に利用する事は出来ない。彼女は一体どうするつもりだ?


 スライム達の動きは遅い。ぴょんぴょんと跳ねながら金城さんへと近付いていく。


 さあ、どうする?あれだけ啖呵を切ったんだ。なんの策もないなんて事はないだ


 前方へ杖を突き出し、スキル発動の準備をする。


「スキル【魔女の手】!!」


 そう唱えると、金城さんの周りから半透明の大きな手が2本浮き出てきた。


 魔女の手、たしか1階層でデモンラビットを倒した時、金城さんに現れたスキル。あの時は緊急事態で聞きそびれてたし、それ以降も一度も使わないからスッカリ忘れていた。


 半透明の手がレッドスライムに襲いかかる。スライムの特性上、人が触れたら液状化するのだが魔女の手はスライムの体を完全に捕らえていた。


 スライムに直接触れる事は出来なかったはず…奴らを倒すには魔法を使うのが一般的だ。あの手は魔法なのか?


 レッドスライムは抵抗することすら出来ず、そのまま握り潰されてしまった。


「やった!草介さん、やりましたよ!。」


 俺に向かって金城さんが笑顔で手を振ってくる。全くこういうところは子供っぽいなぁ。


 微笑ましく思い彼女の方を見ていると、彼女の背後に残りのレッドスライムが迫っているのが見えた。


「金城さん!あぶない!!」


「大丈夫です。感知でわかってますから。」


 残ったレッドスライムもまた、新たに現れた腕が掴み、潰されてしまう。


 あの腕、2本だけだと思ったがさらに増えるのか。


 レッドスライムを倒し終えた金城さんが俺の元へ戻ってくる。


「凄いね、そのスキル。あっという間にレッドスライムを倒しちゃうなんて。」


「ありがとうございます。【魔女の手】は私の魔力で出来た腕なんです。属性は関係なくて、ただの魔力の塊なので物理と魔法の両攻撃の役割を果たします。便利なんですけど、魔力の消費が激しくって…あんまり使わない事にしてたんです。」


 魔力の塊で出来た腕か。物理攻撃の手段がない金城さんには弱点を補えるピッタリのスキルだ。だけど———


「倒したのはいいんだけど……様子見は?」


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