第40話 何が起きるかわからない

「今日は拠点探しとクエスト対象魔獣の生息地を探そう。魔獣と出会ったら片方が戦い相手の出方を見る。一通り観察してやれそうならやってもいいけど基本は様子見だ。」


 初見の敵と戦うのは危険だ。情報を頭に入れていたとしても実際見るのとでは訳が違う。

 自分の目で見てじっくり観察をし、十分な準備を整えてから魔獣討伐に挑む。長年探索者を続けてきた中で自然と身についた行動だ。


「わかりました。今回のターゲットはレッドスライムとサラマンドラでしたよね。」


「うん。とりあえず明日までには終わらせたいけど最悪4日くらいまでなら持つように食料も準備してる。」


 魔法鞄マジックバッグが手に入ったので素材集めなどで稼いでもいいが、欲張りすぎてもいい事はない。今回はあくまでクエスト達成が目的なのでレッドスライムとサラマンドラを討伐したらさっさと帰った方がいい。


 今後の行動を決めた俺たちは先へと進む。



 しばらく歩いていると赤い液状の生物が目に入る。


「草介さん…アレ…」


 敵に悟られないよう金城さんが小声で話しかけてくる。


「うん。あれはレッドスライムだね。様子見は俺が行くよ。」


「あれは私のクエストなんで私が行きますよ。」


「いや、金城さんのスキルだと高火力過ぎて様子見にならない。それに俺の方が耐性スキルがあるから攻撃を食らったとしても大して影響がない。」


 金城さんのスキルは魔法メインで補助系のスキルも火力補助ばかりだ。様子見というには威力がありすぎる。その上耐久力も低く耐性スキルも持ち合わせていない。不意に攻撃でも受けようものなら大ダメージになりかねないのだ。どう考えても様子見には向いていないだろう。


「それもそうですけど…私だって草介さんに頼ってばかりじゃないんですよ。それなりに自分で考えて強くなろうって考えてるんです。私を信じて任せてくれませんか?」


 驚いた…まさか彼女がここまで反論してくるとは…いつもなら少しでも合理的な説明をされると自分の主張は取り下げる。内気な彼女らしい。その彼女が自分の意見を主張してくるなんて…


 真剣な彼女の瞳に気圧されてしまう。


「……わかった。金城さんに任せるよ。」


「ありがとうございます!」


 彼女は俺に笑顔を向けレッドスライムに元へ向かった。


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