第28話 割に合わない仕事は気乗りしない
翌日、俺は一人ダンジョンの1階層に潜っていた。
昨日はなんとか金城さんを説得する事に成功し、アルコールが抜けた後に彼女を家の近くまで送る事になった。
時間が遅くなった為、今日のダンジョン攻略はなしという風に彼女には伝えてあるが、こうして一人ダンジョンに来ているのには理由がある。その理由とは———
「とにかく金を稼がないと、明日からまたパンの耳生活に逆戻りだ。今日はクエストもなかったし…魔獣の素材でも集めるか。」
魔獣の素材はギルドで少なからずお金と換える事ができる。だが、一度に持ち帰れる量を考慮すると大した額にならない上、稼ごうとするならダンジョンを何往復もする必要があるので効率が悪い。その為、基本的に探索者はクエスト以外では余程のレア素材でない限り魔獣の素材を剥ぎ取らない。
2階層に行ってみたいけど、まだ一人じゃトロールに勝てる気しないしなぁ。大人しく1階層で地道に稼ぐか。
ダンジョンを2往復して稼いだ金額は5,000円。3時間かかったから時給にすると約1,700円かぁ。バイトよりは稼げるけど、体力がなぁ…命掛けだしもう少し稼げないと割に合わない気がする。
「それにしても…腹減ったなぁ。そろそろ昼食にするか。ちょっと試したい事もあるし…」
スキルボードを出すと今あるスキルポイントで習得可能なスキルを調べる。
【感知】スキルポイント3
周囲の人や物を感知する事が出来る。
【隠密】スキルポイント3
気配を消す事で気付かれにくくなる。
【鑑定】スキルポイント3
素材や装備品などを鑑定する事が出来る
【錬成】スキルポイント4
特定の素材を組み合わせ、アイテムを作る事が出来る。
【剣術】スキルポイント1
剣を装備している時の攻撃力が上昇する。
【槍術】スキルポイント1
槍を装備している時の攻撃力が上昇する。
【弓術】スキルポイント1
弓を装備している時の攻撃力が上昇する。
スキルはポイントで得られるスキルとダンジョン探索などで得られるスキルに2種類に分けられる。ポイントで得られるスキルは【感知】や【鑑定】などの便利ではあるが戦闘時に役立つものが少なく、基礎能力向上系や索敵系のスキルが多い。
前々から欲しかった【鑑定】は習得するとして、他はどうしたものか…【感知】も便利そうだし、【隠密】も捨てがたいな。それにこの【錬成】っていうのも上手く使えば一儲け出来そうだ。基礎能力強化系はいつまで同じ武器使うかわからないし、あまり重要だとは思えないから後ででいいか。前半の4個を習得したらポイント丁度使い切るしそれでいくか。
【感知】【隠密】【鑑定】【錬成】の4つを選択すると頭の中に声が流れてくる。
『スキルポイントを3使用しスキル【感知】を習得しました。』
『スキルポイントを3使用しスキル【隠密】を習得しました。』
『スキルポイントを3使用しスキル【鑑定】を習得しました。』
『スキルポイントを4使用しスキル【錬成】を習得しました。』
これでスキルポイントを0になったけど、欲しいスキルは覚えられた。
「さてと…準備も整ったし、食料調達にでも行きますか。」
草介は森の奥へと入って行った。
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