第20話 安さには理由がある
受付にいては邪魔になるので金城さんを連れ、外に出る。
「え〜と、俺とパーティ組んでくれるって本当?」
「はい。私も1階層突破を目指していたので。その…迷惑でしたか?」
迷惑だなんてとんでもない。金城さんがパーティを組んでくれるだなんて願ってもない事だ。成り行きとはいえ、共に戦った経験があるのでやりやすいし、何より彼女は強い。
ステータスボードまで見せ合ってるのでお互いの得意不得意はよく理解出来ている。
「まさか。金城さんが組んでくれるなら心強いよ。あれからステータス変わったりした?」
「いえ、私は特に…。1週間も家に帰れてなかったので体力回復の為に自宅療養してました。装備一新の為の資金集めをしていたら草介さんと組まないかって言われて…」
金城さんの装備は惑わしの森の一件で傷付き、使い物にならなくなっていた。それ以前に彼女は7もレベルアップしている。戦闘スタイルも確立してくる頃だし、装備を一新した方がいい。
彼女の装備を確認する。
怖がりな初心者が手を出してしまう耐久力のみ重視した防具【ヘビーアーマー】
この防具が悪い訳ではないのだが、あまりに重いので多少鍛えた人間にしか使いこなせない。少なくとも金城さんのような華奢な女の子だと動くのもやっとだろう。
そして全装備中最安値で販売されている【ダガー】(3,000円)。
これはハッキリいってただのナイフを少し改造しただけの武器だ。俺も一度購入した事があるが全く魔獣に刃が通らない。柔らかい部位を狙って漸くといった感じだ。
そもそもこの娘、魔力のステータスが異常に高かったよな。ダガーのような近距離武器は向いていない。杖のような魔力補助効果がある武器を装備した方がいいだろう。
これは急ごしらえで取り敢えず安い装備を揃えてみたって感じだな。
所持金集めに付き合うのも時間がかかりそうだし……何より今の俺は早急にボス戦に挑みたい。
金城の装備ではボス戦は無理だ。だけど資金集めをしてる時間も勿体無い。いち早く自分の力を試したい草介は【長曽根武具店】を思い出した。
そういえば、確か職員から預かった資金にまだ余りがあるって言ってたな。この娘の装備を新調する事くらい出来るかも知れない。
「ちょっと行きたい場所があるんだけど…ついてきてくれない?」
なんだろうと戸惑いながらも金城は草介についていくことにした。
「装備品でも見ながら少し待ってて。店主と話してくるから。」
金城が武具を眺めている間に残りの資金について話をする。足りなければ最悪俺が払うしかない。
「余ってる資金であの娘の装備を新調したいんだけど…」
「別に構わないが…お前の女か?やるじゃねえか。」
虎徹はニヤけながら俺を揶揄う。
「そんなんじゃない。今度パーティを組むことになったんだよ。ボスに挑みたいんだけど流石にあの装備じゃなぁ。」
「確かにな。戦闘スタイルとかはわかってんのか?」
「魔力が高いからそれを活かした戦い方をさせた方がいいと思ってる。近距離武器は性格的にも合わなそうだから無しだ。」
「さすが長年探索者やってるだけあるな。よく相手の事を観察出来てる。その条件に合うやつだと…ちょっと待ってろ。」
そう言うと虎徹は工房へと入って行く。
数分して戻ってきた彼の腕には、白を基調としたローブや杖などが握られている。
「これなんて嬢ちゃんに合ってると思うぜ。
おーい、嬢ちゃん。こっち来い。ちょっとこれ着てみな。」
いきなり呼ばれた金城は驚き、少しあたふたした後、俺たちのいる方へと歩いて来る。
彼女は虎徹に言われるがままに出された装備一式を身に纏った。
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