第12話 惑わしの森攻略⑨

「今更だけど、本当にいいの?ポイントは1回割り振ると戻せないよ。」


「いいんです。レベルが上がったのも榊さんのお陰だし…私も少しくらいお役に立ちたいので。」


 デモンラビットを倒した俺たちは、最初の予定通りスキルポイントを使って感知スキルを獲得するかどうかで話し合っていた。

 レベルアップしたのでスキルポイントは十分あるが、一度使ってたポイントは二度と帰ってこない。俺が考えた作戦とはいえ、他人に強要するのは気が引ける。それに、正直な話このまま適当に歩いてても森を出ることは出来ると思う。此処は既に出口が近い。森の中でも生きられる俺たちなら後2日もあれば地形を把握し脱出する事は可能だ。

 この方法ならスキルポイントを使う必要なく森を出る事が出来る。なので彼女に無理強いさせる必要はないのだが…意外にも協力的だ。


「それじゃあ、やりますね。」


 どうやら彼女の中で決心は固まっている様で、ステータスボードを出し、迷う素振りもなく魔法スキルを取得した。



『スキルポイントを3使用し、スキル【感知】を獲得しました。』



【感知】…魔力に応じて感知可能範囲が広がる。範囲内になにがあるのかや人の数などがわかる。


「感知獲得しました。ちょっと使ってみます。」


 スキルを発動し、辺り一面を調べる。


「出口は…ありました!此処から20分ほど歩けば森を抜けれます。」


 やった…やったぞ!とうとう惑わしの森を抜け出せるんだ!

 だがちょっと待てよ…最後に不安材料を取り除かないと。


「金城さん、近くに探索者の気配とかないかな?もしかしたら残りの2人がいるかも知れないし。」


 三人の内一人が襲われていたのだ。仲間がいる可能性は0ではない。


「待って下さいね。……大丈夫です。森の周りにも人はいません。」


「良かった。これで一安心だ。出口がわかったなら早めに森を出よう。仲間が帰ってきたら面倒だ。」


「そうですね。でも、森を出た後はどうしましょう。私たちが襲われた証拠はない訳ですし…」


「その辺は既にギルド職員からも疑われてるから大丈夫だと思う。それに、いざとなったらこの森を詳しく調べて貰えばいいさ。常習犯なら被害者の死体なんかが残ってると思うよ。」


「死体…ですか。私も榊さんと出会わなければそうなってたんですかね?」


「さあね。俺こそ金城さんと出会わなかったらデモンラビットにやられてた訳だしお互い様だよ。協力してくれてありがとう。金城さんが居てくれて本当に助かった。」


「こちらこそ、榊さんが助けてくれたお陰で生きて帰る事が出来ました。なんとお礼を言ったらいいのか…」


「気にしないで。クエストを受けて来ただけだから。じゃあそろそろ森を抜けよっか?」


「はい。」


 金城の案内に従い、惑わしの森の出口へと向かった。


 これで…やっと帰れる!


 この日、俺たちはとうとう惑わしの森を抜け出す事に成功する。金城茉央は一週間、榊草介は4日ぶりに地上へと姿を現した。


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