第10話 惑わしの森攻略⑦

 作戦会議を終えた俺たちは、此処に来る前に見つけたホーンラビットの大群が倒れていた場所を探す事にした。


 あの場所は森の入ってそう遠くない場所にあった。入り口に近いという事は出口も近いという事だ。さらにあそこにはまだ死んでいないホーンラビットが山ほどいる。俺のレベルは上がらないが彼女は別だ。金城さんのレベルを上げて索敵のスキルを得る事が出来れば森の脱出も容易くなるだろう。


 魔法は普通のスキルとは違い運で発生するだけではない。スキルポイントを割り振ることで欲しい魔法を覚える事も出来る。初級魔法の【感知】くらいなら覚える事が可能だ。


 因みに俺は魔力が低いので現状覚えられる魔法はない。スキルポイントは3余っているが他のステータスに割り振るくらいしか使い道はないだろう。いつか必要になる時が来るかと思い貯めていたポイントだが、いざという時はこれを使うしかないな。


 休憩を挟みつつも、出口を目指して歩き続ける。洞窟まで歩いてきた金城さんの記憶が唯一の頼りだ。時間はどんどん過ぎて行き、何日も歩いては野宿をし探し続ける。森に入って4日が経過した時、ようやくホーンラビットを発見する事が出来た。


「よし!やっと此処まで来れた。残念だけど、ホーンラビットは毒でもう死んでるし、レベルアップは出来なそうだね。」


「大丈夫です。私は森を出られるだけで満足なので。……やっと帰れるんだ。」


 出口に近付き、大はしゃぎしている俺たちを何者かが見つめている。

 草陰からガサガサと音が鳴り、一人の男性が姿を現す。なんとその人物は、俺たちを陥れた3人組の1人だった。


「まだ待ち伏せしてやがったか…金城さんは後ろに隠れて!」


「は…はい。」


 彼女の手が震えている。それも当然、一度は襲われそうになった相手だ。怖がらない方が無理な話だ。俺が護ってやらないと…


 彼女を庇うように立ち、男の挙動を注視する。


 ふらふらとこちらに歩み寄ってくるが何か様子がおかしい。よく見れば身体中ボロボロだし所々から血が流れている。まるで何かに襲われたみたいだ。


「た……助け……て…」


 俺たちに手を伸ばす男性の腹部を背後から巨大な槍のような物が貫く。


「な…なんですか…アレ?」


 彼女が指差す方を見る。


 アレは…ホーンラビット!それにしてはデカすぎる。変異種か!


 変異種とはなんらかの現象により普通とは違う変化を遂げた魔獣のことを指す。


 紫色の巨大な体躯に赤い瞳。

 毒で倒れたホーンラビットがなんらかの現象で進化しこうなったのか…

 デモンラビットってところかな。


「金城さん…どうやら俺たち狙われてるみたい。……逃げろ!」


 デモンラビットの口から紫色の液体が放たれる。辛うじて回避するが液体に触れたホーンラビットの死骸は溶けて消え去った。


 毒か…耐性があるとはいえ、食らうのは怖いなぁ。俺たちの敏捷力じゃ逃げられそうにもないし、戦うしかないか…



 今がスキルを試す時だ…覚悟を決めろ!

 俺がやらなきゃ彼女も死ぬんだぞ!!


 俺は覚悟を決め、デモンラビットの前へと立ち塞がる。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━

 よろしければフォローと☆☆☆よろしくお願いします!!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る