第9話 惑わしの森攻略⑥

 翌朝、目を覚ました俺は彼女を起こし迷いの森脱出に向けて作戦を立てる事にした。


「じゃあ改めて、俺の名前は榊草介さかきそうすけ。24歳で探索者を初めて6年経つからある程度の知識はある方だと思う。よろしくね。」


「よろしくお願いします。私は金城茉央きんじょうまおで年齢は18歳です。お母さんが病気でシングルマザーだったので稼ぎも少なくて…高校を卒業して直ぐに探索者になりました。初心者なので何も分かりませんがよろしくお願いします。」



 なるほど…今が6月だから卒業して直ぐ働いたとしても2ヶ月。右も左もわからなくて当然だな。

 お互いのステータスを確認出来れば良いが、探索者にとって他人のステータスを見せるという行為は自身の全てを晒すという意味に等しい。パーティを組んでいたとしても一部しか情報共有しないのが当然なのに、出会ったばかりの俺たちが見せ合うなんてのはあり得ない事だ。


「あの…これ私のステータスなんですけど、何か役に立つものありますか?」


 少女はそんな俺の考えも知らず、なんとも思ってない様子でステータスボードを見せて来た。


「えっと……人にステータス見せるのって探索者の中でタブーになってるんだけど、もしかして知らない?」


「え…ごめんなさい!私知らなくって…迷惑でしたか…?」


「ううん。金城さんが大丈夫ならいいんだけど……でも、誰にでも見せちゃ駄目だよ。自分の身を護る為には見せない方がいいから気を付けてね。」


「は…はい。でも榊さん以外の人には見せた事がないので大丈夫です。」


 よかった…アイツらに見せてたなら絶対に悪用するだろうからな。ネット上にでもばら撒かれたら悪い奴らが彼女に寄ってくるに違いない。


 彼女の承諾を受け、ステータスボードを確認する。




 金城茉央

 レベル:2

 スキルポイント:0


 攻撃力:1

 耐久力:2

 敏捷力:4

 魔力 :20

 ●スキル

 【火球ファイアボール】【治癒ヒール



 レベル2か…って魔力20!!!

 俺なんてレベル9で3なのに20って…

 それにスキル既に二つも持ってるし…最近の若者は凄いなぁ。


「どうですか?私、役に立てそうですか?」


「役に立つなんてもんじゃないよ!レベル2でこんなステータス…俺なんかより全然凄いじゃん!これなら森を抜けれそうだよ。」


「え〜と…お役に立てそうで良かったです。」


 興奮している俺に少し引きながら彼女は愛想笑いをした。


「よ〜し、それじゃあ作戦会議だ!サッサとこの森抜け出すぞ〜。」


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