第8話 惑わしの森攻略⑤
食料を見て少しは俺の事を信用したのか…それとも、手当てしてある自分の体を見て少しは冷静になれたのか…少女が俺に向かい声をかけた。
「食事用意するから、食べながら話そう。お腹空いてるでしょ。」
彼女のお腹から音が鳴る。恥ずかしそうに抑え、頬を赤く染めながら彼女は首を縦に振った。
どうでもいい話だが、俺は野営には慣れている。金がない時はダンジョンに潜ってその日の食料を確保しているからだ。それ故に、火の起こし方や魚の捌き方など野営に必要な知識は一通りマスターしている。
手際良く魚の内臓を鋭利な石を使い取り出す。ナイフは奪われてしまったので石しかないが食べる分には申し分ない出来だ。
串刺しにして焼き魚を作る。塩がないので少々味気ないが香草を駆使し最低限の味を整える。
おぉ…良い香りがして来たな。
焚き火で焼いていると、彼女が物欲しそうな目で魚を見ている。
「もう少し待ってね。……はい、どうぞ。」
焼けた魚を少女へと手渡す。
「い…頂きます。」
パクっと一口食べたかと思うと、余程お腹が空いていたのか凄い勢いで残りを食べ尽くす。
あっという間に渡した魚を完食した。
「どうだった?」
「その…美味しかったです。ありがとうございます。」
「それなら良かった。まだあるからゆっくり食べな。」
俺はもう一つの魚も彼女に差し出した。
「でもそれは貴方の分じゃ…」
「俺はさっき腹一杯食べたから気にしないで。年上に遠慮するもんじゃないよ。」
強引に渡すと彼女は渋々といった感じで受け取った。
腹一杯食べたというのは事実だし、何も嘘はついていない。まあ、草ばかりだったから魚を食べたいという気持ちはあったが、あんな顔をされたら渡すしかない。それに美味しいと言われて悪い気はしないしな。
美味しそうに食事する彼女を眺めながらできる限り料理を作り続けた。
「ふう、美味しかったぁ〜。」
満足げな顔で天を仰ぎながら彼女が呟く。
「そりゃ良かった。ところで、そろそろ話を聞いても良いかな?」
「え…あ…はい…」
素の状態を見られたのが恥ずかしいのか、俯きながら小さな声で返事する。
「君は
俺の問いかけに彼女は首を縦に振る。
「じゃあ次。金城さんはなんでこんな所に居るの?パレードが起きたって事は知ってるんだけど。」
「私初心者で何したら良いかわからずにいたら三人組の男性がパーティ組もうって声をかけて来たくれたんです。最初の頃はいっぱい手助けしてくれたし、アイテムなんかも買ってくれて心を許し始めた頃に、この森に行こうって言われて……此処で襲われました。
今までも私みたいな初心者を騙し、犯してた集団みたいで必死に抵抗したけど敵うわけもなくて……もう終わりだって思った時、急に彼らが逃げ出しました。何が起きたのか分からずに彼らは見てた方を振り返るとホーンラビットの大群が私の方に向かって来て……怪我をしながらもなんとかこの洞窟まで逃げ切って今に至ります。」
胸糞悪い…アイツら、殺人だけではなく、性犯罪まで犯していたとは…
この森は滅多に人が来ないし、
少女が話しながら体を震わせている。
思い出してしまったんだろう。可哀想に…
所々破れている彼女に服の上に俺の上着をかける。
「ごめんね。それしかないけど我慢して。」
「いえ……ありがとうございます。」
「気にしないで。俺が見張っとくからゆっくり寝な。」
「でも……」
引きそうにもない事を俺の態度から感じ取ったのか、少女は一礼し洞窟に中へと入っていく。
「おやすみ。」
犯されそうになった子の横で寝るわけにもいかないしなぁ。今日は野宿か。
洞窟の入り口に腰掛け、魔獣が出たらいつでも対処出来るようにして眠りについた。
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