第4話 惑わしの森攻略①

 那覇ダンジョン1階層【惑わしの森】


 惑わしの森には魔法のようなものがかけられており、内部に入った者の方向感覚を狂わせる特殊な効力がある。

 この森に入るには事前準備が必要だが貴重な物があるわけでもないので誰も近付こうとしない。


「なんでわざわざこんな所に行ったんだか。」


 惑わしの森以外の場所なら誰かに見つけて貰える可能性もあっただろうに…

 わざわざこんな場所に来たって事はなんか特殊なクエストでも受けてたのか?


 俺は惑わしの森を抜ける為に必須の魔道具【魔法地図マジックマップ】(30,000円)と最低限の食料(5,000円)を購入してダンジョンに潜っていた。


 数日間帰れない事を考慮した上での食料(行方不明者を含む)だから…1食300円と仮定として3食で900円×3日間×2人=5,400円

 俺の分を少し削って5,000円か。流石に人前でパンの耳食べるのは恥ずかしいからな。

 27,000円の損失になるが仕方ない。

 話を聞いてしまった以上、少女を見殺しにするなんて後味が悪くてできない。

 それに、見つけたら少しくらい謝礼を貰える筈だ。期待しておくか。




魔法地図マジックマップ】は、特定の位置を記憶して案内してくれる便利な道具である。ただし、その効力は一度きりで主に3階層以下に潜る中級〜上級探索者が未知の場所へと向かう時にのみ使われる。俺のような初級探索者が使うには高価すぎる代物なのだ。

 基本的な使い方はダンジョン入口を記憶させ、いつでも帰れる様に準備を整えるというやり方だ。俺も入口を記憶させている。


「さてと…これが惑わしの森か。見たところ荒らされた様子もないしパレードは終わってるみたいだな。」


 森の内部へと足を踏み入れるが魔獣に荒らされた形跡は見当たらない。


 この森、薬草が山ほどあるなぁ…。見た事ない薬草や果実も生えている。採取クエストで来たいけどわざわざ魔法地図マジックマップ買うのはコスパ悪いし、やっぱいつも通りの狩り場でいいや。


 呑気にキョロキョロと周りを見渡しながら少女を探していると何かにつまづく。

 足元を見てみるとそこには大量のホーンラビットが横たわっており、齧られた果実が周囲に転がっている。


 これはパレードの痕跡……死んでいるのか?いや、違う。動けないだけでまだ死んでない。恐らくあの果実になんらかの毒が入ってたんだ。それで痺れて動けないってとこか。

 3日も死なないって事はダメージは少ないが痺れ効果の強い毒。絶対口にしない方がいいな。


 ホーンラビットが食べた果実を観察しながら近くにいる筈の少女を探す。

 此処に大群がいるって事はパレードはこの付近で発生している。ならば少女も近くにいるはずだ。


 少女を探し回っていると背後から何か気配がする。振り返ろうとした瞬間、草介の体に激しい痛みが走った。


「ったく、あんな依頼を受ける奴がいるなんてな。待ち伏せしてて正解だったぜ。」


 意識が朦朧とする。辛うじて開いた目で見えたのは3人の探索者の姿だった。


「良いのかよ。こんな事して。」

「馬鹿野郎!俺たちは既に一人殺してんだぜ。バレたら犯罪者になっちまう。此処なら魔獣に殺された事に出来るし、アイテムも奪えて一石二鳥だろうが。」

「ハハ、違えねえ。魔法地図マジックマップ奪えば帰って来れねえし、探索者殺しには持ってこいの場所だな。」


 クソ…罠だったのか……


 この会話を最後に俺の意識は途切れた。


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