道具屋に通うお客様③-2
しばらくして、ライトと魔王が戻ってくる。
話しを聞き、ライトは頭を抱えていた。
「どうした。ライト?」
ダンテが聞く。
「いや、なんつーか。最大の敵で仲間の敵なのには変わらないんだが、なんか、同情しちゃってな」
「どうして?」
「後で詳しく話すけど、魔王も魔王で巻き込まれたようだ。赤の王に」
「ああ、なんか、それ聞いたら妙に納得」
ダンテも頭を抱えた。
「赤の王って、相当な人なんですね?」
なにも知らないココが、聞いてくる。
「ああ、まあ、なんて言うか色々と、規格外で。この人に任せたら、世界平和、楽だろうレベルに、無茶苦茶なんだ。魔王も、それにやられたようだ」
『次、会ったら倒すからいいんだよ!』
「倒せないから、道具屋で渋々アイテム鑑定をしているの。忘れないで下さい」
『ぐぬぬ』
ライトの突っ込みに黙るしかなかった。
「そんな人がよく、国王で収まっていますね」
「本人は世界平和に興味ないみたいです。それは、俺達の仕事だとかなんとかで、だけど、邪魔されたら、困るから妨害したんです。魔王を。それで魔王も大人しいんです。今は」
『お前らが不甲斐ないからだろう! 特に勇者がよ!』
「それは否定しませんが、世界平和の話しがあっても無くても、勇者がいてもいなくとも、赤の王がいる段階で、その気になれば、魔王は討伐されてますよ」
『うっ、まあ……。そっか』
魔王はライトの話しに頷くしかなかった。
「そもそも、そんな人がなんでいるんですか?」
「さあ、それは俺達にも分かりません。なにか、特別な事情があるとは思いますが、それは、俺達の知るよしもない異次元の話しになるかと、それこそ、触れてはいけない話です」
「そっか」
「それはそうと、アイテム鑑定お願いします」
「あ、はい。購入アイテムから引いて、差額分をお渡ししますね。さっ、鑑定して」
『はいはい』
ココは急いでアイテム鑑定をして、勇者一行と別れた。
勇者一行。退店後。
「しかし、赤の国のアイテム気になってきたな。今度本当に行こうかな」
『勇者一行が持っていたアイテムか?』
「はい!」
『お前、物好きだな』
「物好きだから、魔王さんがいるんですよ?」
『確かにな』
(しかし、天然にあのアイテムが必要か疑問だな。加護の力とはよく言った物だが、それが、あの男の本質としての力なら、仕方ない。勇者達には必要なアイテムなのも分かるな。実際、勇者は助かっているしな)
「どうしたんですか? 魔王さん?」
『考え事だ。お前さんが、アイテムを欲していたからな』
「はい!」
『お前さん。生命の危機とか無縁みたいだが?』
「なんの話がしたいのか、分からないのですが、そんなことないですよ。たまに、重たい物に下敷きになりそうだったり、馬車が突っ込んで来たり、あと、魔王さんがいたりするのも、充分危険に思いますけど、今日だって、水晶玉割りそうになったりしましたし」
『最後のは、明らかに俺様の危機なんだがな。まあ、いい。あのアイテムの本質はある意味、神級の代物って話だ』
「神級!」
ココはテンションが上がった。
『ああ、赤の王が施した。超人的な力だな』
「どんな力ですか?」
『生命の危機感知。装着者の死が近い将来確定した時、あれは、壊れる』
「死の確定って?」
『ある意味では未来予知に似ているな。死が確定したら壊れると言うことは、死を回避する手段を取ることができる。恐らく、勇者が今、生きているのは、その運命を回避したからだ』
「でも、劣化して壊れることとか、あるんじゃないんですか?」
『そこが、神級のアイテムなんだよ。そもそも、炎耐性が高いんだ。多少の暑さで壊れない。他の属性もある程度半減と言うことは、寒さや、固い物にも強い。気候や使用頻度で壊れるようなやわなアイテムではない。あれは、本物のチートアイテムだ』
「そんな神級アイテムが作れる赤の王って、凄いですね。どんな人だろう」
(んだから、常連客だっつーの!)
魔王は強く思っていた。
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