道具屋とマジックアイテム①
ココは道具屋なのは、世界に散らばるマジックアイテムの収集が趣味だからだ。
趣味の延長で道具屋をやっているし、エマと親友なのは、エマの好奇心がココの好奇心に似ていたからだ。
早口で話す以外だが。
この日もココは珍しいアイテムを手にしていた。
見た目なタダの水晶玉だったが、アイテム鑑定をしてくれるらしい。しかも、喋るとか。
高いお金で商人から購入した。
夜。
ココはそのアイテムに話しかけた。
「アイテムさん。応答して下さい」
『なんだ?』
水晶玉が光り話し出す。
「応答した!」
エマが驚く。
『なんだ。女か』
しかも、挑発的な口調だ。
「なんだ。では、なく。私はココです。貴方は本当にアイテム鑑定できるのですすか?」
できなかったら、割るかも知れない。と、ココは心の底から思っていた。
『アイテム鑑定くらいできるが、お前はなにか勘違いしている。俺は魔王だ。その気になれば、女。お前を今すぐ消すことができるぞ。お前は俺の、命令に従え。いいな』
「え、マジ」
力のないココは、魔王に心を奪われてしまった。
次の日の昼。
「ココちゃん。アイテムの換金に来たよ!」
ノリノリでセキが、店に入る。
「あ、セキさん」
お店のカウンターにはあの、水晶玉が置いてある。
「これ、新しいアイテム?」
「はい。昨日手に入れました」
ココの目に生気が感じられない。
「へー」
セキは眼鏡を上げ水晶玉を見る。
セキもマジックアイテムが好き、と、言うより、珍しい物が好きなお客様である。
ココのコレクションを目を輝かせて聞いていた。
最初はナンパからだったが、そう言った意味で、ココはセキを友として、接することができたのだ。
「あ、今、用意しますね」
「うん」
ココが裏に回ろうとした時、扉が開き、商人が入って来た。
「お届け物です」
「あ、はい!」
ココが元気に返事する。
「ココちゃん。今日は、俺も時間があるし、先、そっちの対応済ませていいよ」
「いいんですか?」
「いいよ。俺、そこのアイテム眺めたいから」
セキはカウンターの下にあった椅子に座る。
「あ、じゃあ、お言葉に甘えて」
ココは別の対応を始めた。
「さてと」
セキは水晶玉を掴み青い炎を出す。
青い炎はセキが敵と認めた相手の精神を焼く炎だ。
『あっちぃ』
「痛みを感じるってことは、精神は水晶玉と繋がっているんだな」
セキは水晶玉を睨み付けた。
水晶玉は冷や汗を掻いている。
「お前、なに、やっているんだ?」
セキは水晶玉を指先で回転させる。
『それは、こっちのセリフだ! なんで、青の国にいる!』
「いいじゃねーか。赤の国の人間が、青の国でFランクの冒険者やっていたって。魔王のお前がココちゃんの心に忍び込むより、よっぽどあり得る話だ。それで、お前の目的は?」
『言えるか』
「大方、俺がぼこぼこにして、侵略ストップかけたから、秘密裏に青の国から侵略しようとか、資金集めとか、そんなところだろう?」
『分かっているなら聞くな!』
「なんだ。図星か。さて、この状況。どっちが不利だと思ってるんだ?」
『お前。あっちぃ!』
「お前に決まっているだろうが、身の程分かれ」
『こ、こっちには、人質が……』
「ココちゃんの心壊す前にお前の精神燃やし尽くすよ。あと、他にも人質がいるって、言うなら知ったこっちゃないな。俺はココちゃん以外の知らない人を助ける程、心に余裕はない」
『本気で言っているのか?』
「本気だが? 人質取られても無意味って、俺はお前に言いたいからな。それにだ。仮にお前の精神焼ききるより先にココちゃんが再起不能になった場合。お前は俺を本気で怒らせたことになる。勇者がお前を討伐する前に俺が討伐して、世界の理ぶっ壊すから、結局、お前は、ココちゃんになにかしょうものなら、精神的に死ぬか、肉体もろとも死ぬか、どっちかの道しかないんだよ」
『悪魔が』
「魔王が言うと格下に聞こえるんだが?」
『うるせぇ、ああ、分かった。辞めるよ』
「暗示も解けよ。ココちゃん以外に掛けたら、ソイツらも」
『分かりました。知らない。って言う割には、結局、他の奴らも気にしてるじゃねーか』
「性分だ。あと、お前、何でココちゃんに買われたんだ?」
『アイテム鑑定だ。この俺様位になれば、その位できる』
「んじゃ、それもやれ」
『なんで!』
「ココちゃんが買ったからだ。んの段階で売買契約は結ばれているだろう。やらないなら、それは、詐欺だ。そんなことしてみろ、ここから、お前の身体燃やすからな」
『分かったやるよ』
セキの脅しに魔王は怯み従った。
『ったく、計画台無しじゃねーか』
「ざまあ」
『死ね。バカ』
「俺は不老不死だから、呪っても死なねーよ」
『道具屋の娘に、テメーの正体話すぞ』
「その脅しに関しては、話しても構わねーが、ココちゃん。俺が国王であっても信じてねーからな。話しが、デカくなった分、信じて貰えるか余計疑問だが?」
『なんだよ。それ。道具屋の娘。天然か!』
「そこが、可愛いんだよ。ほれ、早く戻せよ」
『はいはい』
「ありがとうございました」
ココが丁度、対応を終えた後、魔王はココにかけた術を解いた。
ココはバランスを崩し、倒れそうになるのをセキは受け止める。
手に持っていた水晶玉をセキは、宙に上げていた。
『おい、割れる……』
魔王が忠告する前に、炎の羽が付き、水晶玉は浮いた。
『お前、割れたらどうする?』
「代わりを用意したかな。ってか、割れて怒るってことは、お前にも何かしらダメージがあるんだな」
セキはココを抱き抱えている。
『うるせぇ』
「図星か」
セキはココを優しく、店の奥にある控え室のソファーに寝かせる。
「まあ、ココちゃんにお前を壊したことがバレたら悲しむだろうから、しないけど。今はな」
『今は、って』
「俺の気が変わればやるかもな」
セキは水晶玉を拾い、元の位置に置く。
『お前、とことんヤバい奴だな。魔王を恐れないとか』
「単純に人間じゃねーからだよ。人間だったらお前を恐れていただろうよ」
セキはココを見る。
「さて、ココちゃん目覚めるまで、店にいるかな」
セキは店に戻った。
夕方。
ココは目を覚ます。
「私!」
ココは急いで店のカウンターに行く。
「セキさん」
「おはよう。大丈夫? 急に倒れたけど」
「あ、セキさん。だ、大丈夫です」
「本当に? 疲れが溜まっていたんじゃないかな? あんま無理しちゃダメだよ」
「すみません」
「謝らなくていいよ。俺も暇だったし」
セキは微笑む。
「あ、アイテムの精算!」
「それも今度でいいよ。今日は店を閉めて休みな」
「あ、じゃあ、お言葉に甘えて……」
「おう、また、珍しいアイテム入ったら見せてよ。じゃあね」
セキは店を出た。
「ありがとうございました」
ココはお辞儀をしてセキを見送る。
その後。
「随分、大人しくなりましたね。魔王さん」
『そりゃ、色々あったからな』
「色々? それが洗脳を解くことに関係あるんですか?」
『ある。大いにあった!』
「そうなんだ? まあ、昼間の記憶殆どないから、なにが起こったか分からないけど」
『知らなくていいわ』
「そうですか。それで、これから、アイテム鑑定はしてくれるのですか?」
『やる。そう言う約束したからな。奴と』
「奴? 誰ですか?」
『何故、気になってる』
「新しい、商売に繋がるかと思って」
『繋がらないよ』
「そう、残念。珍しいアイテムとか、持ってないんですか?」
『ないわ』
「うーん。そっか、なら、知らなくていいか」
『いいよ。知る必要はない』
「分かりました。それではこの話は終わりにします。今日は休みますね」
『ああ、そうしろ』
「はい。明日もよろしくお願いします」
ココは眠りについた。
『はあ、俺様、魔王だよな』
魔王は弱音を吐くのだった。
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