第51話 目には目を、奥の手には奥の手を


「グハッ!!」


『ラァァ!!!』


 美穂の一撃によって吹き飛ばされ、壁にめり込んだ俺に、美穂は即追いつき追撃を入れる。


「ッグゥ!!」


『どうしたの!? 【虐殺スキル】も使わずに私に勝つ気!?』


 俺に追撃を入れた美穂は、俺の頭を掴んで闘技場の中心まで投げ飛ばす。


「……チッ!」


 俺はなんとか空中で体制を立て直して着地する。


(なんだあのスキル……“悪童”の【憑依】といい“神童”の【月狼変化】? といい……皆必殺スキル持ちすぎだろ!)


『【貫通】!!』


「!!」


 ビュンッと美穂は加速し、手に持つ大剣で俺の胴体を貫こうとする。

 俺は美穂の突きをすんでのところで転がってよける。


「ちよ!!!!」


「兄貴ィィ!! 避けてください!!」


「宝晶!!」「一年!!」「ちよ君!?」


 第四学園サイドから俺の安否を伺う声が聞こえる。


『……彼らはずいぶん楽しそうですね』


「あ?」


『人の心配より先に自分の弱さを憂うべきなのに』


「ああ゛?」


 ポツ、と美穂は言うが言うや否や、左手の凶爪と右手の大剣で猛攻を仕掛けてきた。


(通りでなんか体格の割に大きな剣を使ってんなって思ったぜ……!)


『これで……終わり!!』


 美穂は大上段から大剣を振り下ろす。

 決着がついたと皆が確信し、目をとじた──


「【虐殺】!!」


『……っ!』


 俺は武器を三叉槍に変え、その一振りを弾く。


『……まだそんな力があったの』


「はぁ、はぁ……」


 俺は、手に持つ変形剣を見つめて……バッと床に捨てる。


『……!?』


「「「「……!?」」」」


「千縁!?」


 焦りの声が聞こえるが、俺は意に介さず首の骨をならした。


『何を……笑ってる、の?』


「はは……ハハハハ!!」


 ああー……やっぱりまあ、そうだよな。


「やっぱ、あの“神童”にスキルなしってのはキツ過ぎたか」


「「「「「「「!?!?」」」」」」」


『何を……!?』


「いやー、俺もあんたと同じでさ。今まで使ってなかったスキルがあるんだな」


 俺の言葉に、会場中が、特に学園長席が騒がしくなる。


「おい……滝上、あいつまだ隠し球があるのか!?」


「いや……そんなばかな……宝晶……まさかデュアルだったのか……?」


「まあ、あんまし使いたくなかったんだけどな……から、何言うかわかんねーし」


『……?』


 そうだよ。もう知っての通り、【憑依】すると今以上に人格がその存在にからな。

 テレビで中継中な以上、絶対変なこと口走らないようにと気をつけてたんだが……負けるのに比べたら万倍マシだよな。

 俺は、意地を張るのを諦めて言った。


「さあ……こっからが本番だぜ? 【憑依】──」


「【憑依】!?」


『……ッッッ!! させるかッッ』


 ドッと溢れる濃密な気配を感じ取ったか、会場の人々が圧倒されている中美穂だけは即座に復帰し、俺に攻撃しようとする……が。

 当然、間に合うはずもなく。


「────悪鬼」


 が、この世に降り立った。
















​───────​───────​──────

ついに“門”の仲間、登場!!


8月も最後ですね……夏休みがもう終わってる人もいれば、今日で終わる! って学生の方も多いかと思います。

筆者の場合は今日までですのでね。夏休み最後の四連投稿行きます!!!!

この後12:31分、18:31分、21:31分、お楽しみに!

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