第42話 勝者
「「「「「うおおおお!!」」」」」
「嘘だろ!? おい!?」
「まさか……いや、これ夢だよな!?」
「んな……まさか……」
俺がベンチに戻ると、第四学園サイドから喉が張り裂けんばかりの歓声を浴びることとなった。
「ちよ……まさか……そんな……」
「さすがです兄貴!! 俺たちは信じてました!!」
「……!」
皆が皆あり得ない、と頬をつねったり目を擦ったりしている。
それもそのはず、俺は10年ぶりの快挙を、半ば一人で成し遂げたんだからな。
「宝、晶……」
「あ、学園長」
そんな半数は呆然、半数は大騒ぎする中で、学園長は開いた口が塞がらない、といった表情で俺を見つめていた。
「まさか……いや、本当に……」
「だから、言ったじゃないですか」
言葉が出てこない滝上学園長に、俺はからかうように笑って、再び告げた。
「明日からは俺たちが第一学園だって」
「「「「おおおおー!!!!!!!」」」」
「……!」
学園長はヒュッと息を吸う。
もう三度目となる俺のこの宣言を疑うものは、いなかった。
〜〜〜〜〜
「なんということだ……なんということだっ!?」
「誰だ! 彼は誰なんだ!? 今すぐ調べろ!!」
「あの“悪童”を……あれは将来、この国を救う者になる! 絶対にコンタクトを取るんだ!!」
一方、VIP席の老人たちの間では怒号が飛び交っていた。
ここには、実況の鏡秀以外にも、本来“神童”と“悪童”を見るために集まった政府の者や、ギルドマスターもいるのだ。第四学園が“悪童”に勝つところを見た彼らは、急いで千縁の情報を探らせる。
だが、千縁は2ヶ月前まで
その事実に気づくはずもない国の重鎮たちは、完全な情報統制が行われていると思い、戦慄する。
そんな中、千縁の情報に心当たりがある人物が一人。
大阪探索者協会
(まさか……)
彼は昨日、大阪の協会本部を任せておいた上級探索者の斎藤重吾から聞いていたのだ。
「“神童”を思わせるレベルの新人が第四学園学園長の推薦で特別ランクアップを受けにきた」と。
聞けば、今日の大会に出場すると聞いていたそうで、それなら出席が決まっているしついでに見ておくか……と思っていたのだが……。
(おいおい。下級探索者から中級に上がっただけじゃなかったのかよ!)
てっきり“神童”が下級から中級になった時と同じくらいの実力かと思ったんだが……いや、それでもニュースになるであろうくらいにはすごいのだが……
「騙された……まさか今の“神童”レベルとは……」
騙されたと言うより、詳細を聞いてなかった自分が悪いのだが……ギルドマスターである
(しかし、あいつなら……)
海原真は、東京でつい先日議論してきたことについて思い出す。
(……それよりも今は、“神童”との対決が楽しみだ)
海原は嫌な記憶を振り払うように頭を振ると、ついに
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