第21話 初依頼を受ける
「……すまなかった!!」
「謝るのは俺じゃねぇだろ」
「ああ……みんな、迷惑をかけた」
数分後、再起した斎藤重吾こと重吾さんは、俺とみんなに頭を下げた。
「ああ、俺は気にしてないぜ。たまたまこいつがいてよかった」
『アレクシスの牙』のリーダー、『雪鬼』こと
「ああ……本当にすまなかった。そうだ、千縁、といったか? お前の試験結果だが……」
重吾さんはそういうと、少し逡巡するそぶりを見せた。
(なんだ、この後に及んでやり直しとかいうつもりか……?)
俺は少し心配になるが、杞憂だったようだ。
「上級になれるように取り合ってみよう。お前を中級なんかで腐らせとくのは勿体無い」
「え……そんなことできるんですか?」
第四学園とはいえ、日本を代表する探索者学校のうちの一つだ。その学園長でも中級へのランクアップを即時行うよう頼むので精一杯だったというのに……
「まぁ、普通に考えてもできないよな。でも、ギルマスのことだしきっとその力を見せて見たらすぐにでも上級探索者になれるはずだ。といっても今は出張で東京だからしばらく後だがな……」
「おお! じゃあ帰ってきたらお願いします! といってもそろそろ学園対抗戦なんでその後になるかもしれませんが」
俺の言葉に、重吾さんはじゃあ帰ってきたら推薦するといい、今度は『アレクシスの牙』の人たちが話しかけてくる。
「君、その強さでまだ学生なの!?」
「すごいな……まるで“神童”の時みたいだ」
「え、“神童”ってここでランクアップしたんですか?」
俺は、第一学園の代表となるであろう同級生の“神童”について知ってるようだったので、何か情報は得られないかと氷室さんに聞いてみる。
「ああ、中級から上級になるときはここで試験受けてたな。本気の斉藤さんを軽々と倒していた。」
へぇ……上級になる試験なら斉藤さんも俺の時と同じく本気装備だったんだろう。それを軽々と倒すか……楽しみになってきたな。
「まあ、何はともあれこれで中級探索者になったわけだし、今日明日で終わる依頼を探そう」
お、これにしよ。
俺は『アレクシスの牙』の皆さんと別れて、早速受付にいく。
「あっ、ランクアップおめでとうございます! 早速依頼を受けるんですか?」
「はい、実は金欠でして……明日中に終わる依頼でも受けようかと思いまして」
ダンジョンの魔物の素材は様々なものに役立つ。金になるのは魔石だが、素材も欲しい人がいる以上、依頼料を出して探索者にとってきてもらうシステムがある。そのための
受付嬢は俺の依頼を見て……驚愕の声を上げた。
「ええ!? 岩晶ゴーレムの人差し指30本ですよ!? これを明日にって……岩晶ゴーレムが出るのは
ああ、そうだな。俺にとって家とゴブスラダンジョン以外の初ダンジョンとなる。
メギドは、狭いが魔物が多く、耐久力に優れた魔物がたくさんいる場所だ。本来なら中級探索者でもかなり最上級のパーティが一、二週間かけてやる依頼だろう。なので、報酬もほら。なんと80万!!
「大丈夫ですよ、明日の昼には帰ってきます」
「え、ちょっと!? パーティは!?」
俺は依頼を見つけてから速攻でダンジョンへと潜っていった。
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