第15話 学園長の提案
「……失礼します」
「あら、私が呼んだんだからそんなにかしこまらなくってもいいぞ?」
俺は今、学園長室に招かれていた。
美人な滝上学園長と密室(学園長室)で2人っきり……
これは何かが起こる予感……!
「早速本題なんだけど……交流大会の学園対抗戦に出てくれないか?」
「え?」
え? イケナイ関係とか……そっち系じゃなくて?? いや、分かってたけどさ……
「その……本来学生が好きな部を選べる筈なんだが……ほら、うちっていっつも最下位だろ? 勝者には政府から維持費が多く配られるのは知ってるか? 他の校舎がうちより大きかったり、綺麗だったりするのはそれが原因だ。うちは他校に落とされたけど開花していない才能ある子達を受け入れている訳だけど、それでもやっぱり施設は綺麗にしてあげたいのよね。訓練器具もひとつ違うだけでかなり変わるし……」
あっといっけね、呆然としてる間に学園長めちゃくちゃ喋っておられるわ。
聞いてなかったのバレてないよな??
とりあえず要点だけ聞いとくか。
「ははぁ、それで?」
「だから1番点数が高くて盛り上がる“学園対抗戦”に出て欲しい! 大将じゃなくてもいいから、頼む!」
毎年毎年ひっくい基準で生徒を採用してる学園長の事だから、慈善事業感覚でやってるのかと思っていたが……意外と本気で生徒のことを考えてるんだな。
確かに本格的に訓練するなら、それこそ他校のような訓練器具や場所、それを建てるための“維持費”が要るだろう。
が。
俺にとってそんなことはどうでもいい。だからここは──
「当たり前ですよ! というか、大将以外は受け付けませんから!!!」
四大学園交流大会だぞ!?
俺の夢を叶えるためには、有名になる必要がある。
俺にとって、これ以上ない絶好のチャンスなのだ。
更に今なら、大将の座も勝ち取れる……!
「俺の時代だ……!」
今から交流大会が待ちどうしくて堪らないぜ!
「あー、えっと、宝晶。“学園対抗戦”に大将として出てくれるってことでいいかな?」
「あったり前ですよ!! 是非! お願いします!!」
なんとしてでも、ここで大将を勝ち取らねば……!
今なれなきゃいつなれるというのだろうか。
「…分かった。でも、“学園対抗戦”の、それも大将出るってことは、この学校を背負うってこと……だ。……宝晶は大将になる『覚悟』があるか?」
……正直、学校のこととかどうでもいい。
でも、ここで変に機嫌を損ねて大将になれないといった事だけは塞がねばならない!!
それに、搾りカスみたいな俺を唯一引き受けてくれた学校でもあるしな。
恩返ししたい気持ちもある。
「勿論です。俺が今年、“神童”含む全員をなぎ倒して……この学校を、第一学園にします!!!」
探索者学校は、その順位で番号が決められている。
今年“神童”率いる第一学園は完勝確実と言われており、四学園唯一の国立校でもある。
だが、俺は負ける気などそうそうない!
「ハハ……そう、だな! 私達が、第一の座を奪い取ってやろうか!!」
学園長は、軽く笑って返した。
恐らく、冗談なり励ましなりと受け取ったのだろう。
それも当然だろう、ただでさえ毎年ボコられているのに、他の学園はともかく、今年の第一学園には史上最年少“超級探索者”である“神童”がいるのだから。
一介の一年生がその第一学園を倒すなど夢物語がすぎる。
だが、俺は夢で終わらせるつもりはなかった。
「俺は、一介の一年生じゃないからな」
俺は人気アイドル、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます