第12話 復讐
「おはよ〜」
「おはー」
9月2日、新学期最初の授業の日だ。
俺は結局あの後連絡先を交換し、ゴブスラダンジョンの40階層でスキルを試し撃ちしてきた。
(大規模破壊が起きてしまった……)
俺は、自分の手にした
俺が試し打ちした40階層は1日にして更地……むしろクレーターだらけになってしまったのだ。
そんなことより、アイドルと連絡先を交換できたことだ。
門の怪物の中には、女好きのクソ
……とか思っていると、早速クズが絡んでくる。
「ヨォ、ちよ! 昨日は何サボってんだ〜?」
「全く加藤さんを見習ってほしいなァ!」
「おいおい、加藤さんに話しかけてもらえて光栄です、だろ?」
相変わらずの三馬鹿だ。
「……んだよ、鬱陶しい」
「……あ?」
もうこいつらなんて、眼中に無い。
なんで中級探索者なのにこんな学校にいるのかと思ってたが……この性格だし、他の学校は落とされたんだろうな。
それに、俺はもう強くなった。こいつらにいちいちビビる必要はない。
「なんか用か?」
「テメッ加藤さんが話しかけてくださってんのに」
「──黙れ」
「「「!?」」」
俺は、取り巻きAが吐いた言葉の途中で、立ち上がって胸ぐらを掴み上げた。
「はなっ……ぐぁっ……」
「さっ三郎! 三郎を離せこのクズがっ!!」
取り巻きBが俺を指差して騒ぎ立てる。
こいつ三郎っていうのか。古い名前だな、おい。
「人に指差すんじゃねーって、習わなかったのか? ア゛ァ゛?」
「っ──!?」
ガシャアアアア!!
「「「「キャアアアアア!?」」」」
「ちっ、ちよ?」
俺は、三郎を取り巻きBに向かって投げ飛ばす。
野球ボールの如く速さでぶっ飛んだ三郎に巻き込まれた取り巻きBは何かを言おうとしていたらしいが、飛んできた三郎に巻き込まれてその言葉を発すことなく気絶した。
あーあ。あれ、呼吸できなかっただろうな。だから黙れって言ったのに。
「なっ……お前、このクズ! 三郎と竜二に手を出してどうなるのか分かってんのか!?」
「……どうなるんだ? 教えてくれよ。なぁ?」
この後に及んでまだ貶せるとか尊敬するわ、ある意味。
俺が容赦なく、普段と豹変した行動をとるのには理由がある。
4年前(1ヶ月前?)、門の中で戦闘訓練をしていた時のこと。
『おい、ちよつったか?』
『え?』
どんな武器も使えるようにならなきゃいけない。そうしなければこの試練はクリアできない。
そう思って俺がさまざまな武器を並べて見ていた時のことだ。
『テメェ……やる気あんのか? あ゛?』
『あっあるわ!! 急にどうしたんだ?』
『テメェにはなぁ、“覇気”がねぇんだよ』
『“覇気”……?』
『ああ、お前は、戦う時に相手のことを考えてるんだよ』
『だって、そりゃ』
『うるせぇなぁ、まぁ聞け。“戦っている”ってことはな、そいつは「敵」なんだよ。「敵」に対して、容赦をするな。「敵」に対して、同情するな。「敵」に対して、遠慮すんじゃねぇよ。たとえ相手が1歳の赤子でも、赤子を身籠った妊婦だったとしても、親友だったとしても。「敵」であるなら、絶対に殺せ』
『いや、何も殺さなくても』
『テメェは手加減ができるような、そんな“上”にいねぇんだよ! ……まぁ、殺すのはやりすぎにしても、決して情けとか、ましてや哀れみなんぞ持つな。敵対したからには絶対に制圧しろ』
『鬼かよ……』
『? 俺様は鬼だぞ??』
『……』
『そもそもその程度の覚悟じゃぁ俺様に攻撃を通すことなんて到底出来ねぇがなぁ?』
『っ……わーったよ! やってやる!! 勝負だこの野郎!!』
〜〜〜〜〜
ちなみにこの後1年に渡ってボコられ続けるのだが……マジであいつ強かったな。あいつが力を貸してくれるとか、今でも信じられねぇわ。
「ふ、ふん。少し強くなったようだな。だが……喧嘩を売る相手を間違えたなぁ、ちよちゃんヨォ!!」
「は……?」
「俺は1年……いや、学園最強の探索者
……なんだこいつ。もしかして、まだ本気で自分が強いと思ってんのか??
「くたばれ! 【ファイアランス】!!」
加藤が教室を吹っ飛ばせる程度の魔法の槍を放った。
教室から悲鳴があがる。
「ちよっ!?」
悠大が焦った声を上げるのを片耳に、俺は一瞬で加藤との距離を0にした。
「じゃあさ、お前……これが目で追えんの?」
「ハハハ! くたばれぇ……ぇぇぇええ!?」
俺は加藤の首を左手で掴み、右手で【ファイアランス】を握りつぶした。
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