第11話 女子の連絡先ゲット!(初)
運転手の男は泡を吹いて倒れた。
俺が使ったのは、自らの感情をコントロールし、外に向けて放つことで直接伝えるスキル……【死壊圧】だ。
正確にいえば、その模倣なのだが……
(誘拐なんてするくらいだから強いのかと思ったけど……死んでないよな?)
ちょっとビビりながらも、やっぱり俺の強さは本物だとわかった。
超級以上はわからないが、おそらく上級探索者位なら片手でフルボッコにできるだろう。
「大丈夫か? 親は……」
「待って!!!!」
「……?」
俺が少女に親を呼んでもらおうとすると、少女がそれを止めてきた。
「一人で大丈夫だから……その、ありがとう、ございました……」
「いやいやいやいや」
この子大丈夫か?
どう見ても俺と同じくらいの少女だが、その美貌からか、誘拐されそうになってんたんだぞ。普通もっと怖がるだろ。なんか普通に、俺のことだけ怖がってね? 誘拐されそうになった件について冷静すぎる気が……
「誘拐されそうになってたんだよ!? とりあえず警察には行かないと……」
「だっ、だめ! それはダメ!!」
何がダメなんだ? 可愛いけど、なんか怪しいな……
それを感じ取ったのか、少女はポツリとこぼした。
「あの、あの人たちは……事務所の人」
「は? 事務所?」
「そう……私、
飛彩優香? どっかできた気がするな。それに、事務所、ライブ……
「アイドル!?!?」
「うん……」
はぁ!? じゃあ、あの人たちは事務所の人で、逃げた優香を連れ戻そうとしてただけってことか!?
「うんじゃねぇよ! 説明しろ!」
「アババババ」
俺は冷や汗が流れるのを感じて、優香を揺さぶり事情を聞き出すことにした。
〜〜〜〜〜
「……つまり、辞めたいのに友達を人質にされてやめれないってか?」
「うん……全然学校にもいけないし、みんなにも会えない……もうアイドルなんか嫌なのに……」
優香がアイドルに誘われた時、一緒に誘われた友達は続けたいそうだが、優香が辞めるならその子も辞めさせると言われているらしい。まあ、有名なのは優香の方だからな。売れ始めている優香をやめさせたくないから脅してるんだろうが……
うーん、これ俺、犯罪っすか?
いやいやいや!!
ややこしいこと言ってる奴が悪いんだよな、うん!
大丈夫、姿は見られてないはず……運転手もあの感じじゃ俺の顔なんか思い出せんだろ。一瞬しか見てないだろうし。
「はぁ……じゃぁ帰すしかねぇじゃんか、結局」
「い、いやっ!」
いや、嫌とかって言われても……俺にどうしろと?
優香は、俺の手を掴んで引き止めようとする。
アイドルと生握手するなんて思ってもなかったけど……
俺の心は「こいつどうしたらいいんだ……」と、厄介ごとを抱えてしまった後悔しかなかった。
何とは言わないが、門の中で色々あったからな……
もう前のように美人と喋れない童貞野郎じゃないぜ!!
……いや童貞だけどさ。
「私、帰りたくない……匿って!」
「アホか漫画の見過ぎだ。断る」
「そんな……!」
当たり前だろうが! 俺を犯罪者にする気か!
「その、なんだけど私、アイドルよ……? ほら、下卑た魂胆とかないの?」
「何言ってんだお前は! もう帰れ!」
だめだ。このアイドルポンコツすぎる。
大体それで俺が本当にお前のこと襲ったらどうすんだよ。文句言えねーぞ。
「そこまでして辞めたいのかよ?」
「……」
え? マジで言ってたん? 急に黙るの辞めてもらっていいですか!?
美人とも普通に接せるようになったとは言ったけど、女慣れしてるってわけじゃねーぞ、俺。そんな泣きそうな顔されたらオロオロすることしかできなくなるんだが?
「ま、まぁ、元気出せよ。俺はアイドルじゃねーしむしろ嫌われ者だから全く何にも助言できねーけど」
「……? いや、宝晶さんは……!」
「はいはい、行った行った」
俺は面倒ごとに巻き込まれたくないのでさっさとお暇することにする。もう手遅れかもしれないが。
というか、そんなにやめたいって一体、なにがあったんだ……? 普通じゃないのは確かだが。
「でっでも!」
「……本当に、本当にどうしようもなく辞めたくなったらまた言ってくれたらいいからさ。愚痴ならいつでも聞くから。今日は帰ろう?」
「……じゃぁ」
俺はもう会うことはないだろうと、適当にはぐらかして帰ろうとするが、優香の差し出したものを見てその足を止められた。
「……連絡するから」
そう言って差し出されたのは、
面倒事最高!!!!
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