第4話 うちにダンジョンが現れた
「これって……ダンジョンだよ、な?」
俺は部屋の中に突如として出現した、地下への階段を見て気づく。
この独特な気配……ダンジョンだ。
いつもゴブスラダンジョンに潜っているときに感じる雰囲気と似ている、ダンジョン特有の気配だ。
「……ん? あれ、ダンジョンまだ入ってないのに、なんでだ?」
ダンジョンは不思議な空間で、入口からは中の様子が全く見えない。例えば洞窟に見えても、一歩踏み出せば大森林ということもある訳だ。
入口の真ん前であろうと全く気配を感じることはないのだが……
「って、もしかしてこれ、俺の部屋全部ダンジョンになったのか??」
隣の部屋にもダンジョン領域が広がってるだろうか。なら、こっちが先に通報するしかない。
新ダンジョンを見つけたら警察に報告するのが最優先だ。日本にダンジョンは確か100数個……決して多い訳では無い。
恐らく通報したらそれなりの報奨金が貰える……はずだ。
「……待てよ」
今ここで俺が通報したらどうなるんだ? 俺の家ってどうなんだろ。
そう冷静に考えて見ると、不可解な点が浮き彫りとなって来た。
「そもそも、ダンジョン領域に元々あった人工物は、ダンジョン生成時に消滅するって聞いた。ってことは、ここはダンジョンじゃない、階段を降りてからがダンジョンのはずだ。」
ということは外にまで気配が出てくるタイプのダンジョン?
んなアホな話は無いわな。
……とすると考えられるのは、外にいても感じるほどの気配、か。
「あれ俺死んだ?」
ダンジョンは極低確率で氾濫を起こし、地上に魔物を吐き出してくることがある。
魔物を倒さずに放っておくと、これが起きやすくなるのだ。
流石に、俺の一存でそんな危険を犯すことは出来ない。
「やっぱ通報するしかないか……?」
だが、またしても先程の言葉が思い出される。
『多少の無茶もなく強くなるなんて到底不可能』
……ちょっとだけ。
ちょっとだけ、どんなところか見てみるか?
ダンジョンに入ったら出れなくなったというのは、ボス部屋以外に聞いたことがない。
トラップ等ではあるかもしれないが、顔だけ入れてみれば絶対に引っかかりはしない。
俺は数分間葛藤して……
「おーけい、頭だけ潜らせてみよう。階段下に頭を下ろせば、中も見えるはず、うん」
入ることに決めた。
階段の横に寝転がるように伏せる。そして、俺は頭を階段の2段目に置いた。
「……は????」
そして俺が見たのは……
それぞれ特徴を持った、輝きを放つ7つの門と、真ん中にいる1人の人間だった。
「──やっと会えたな」
「ヒエッ」
俺はバッと頭を戻した。
「はぁ、はぁ、はぁ……なんだ、あれ……なんで人が?」
今生まれたダンジョンに人がいるわけが無い。ということはあれも魔物か?
人型の魔物とか……強いのが定番だよな。人語喋ってたし。
「って、そうだ! “やっと会えたな”って……どういうことだ?」
そう、何故俺の事を知っていたのか。
意味がわからん。
あんな王冠被った野郎とあった覚えないぞ。
あと、イケメンにも程があるわ。アニメか出身地。ざけんな。
「……入る、しかないよな?」
俺はやっぱ通報しようかとも思ったが、不思議と確信を得ていた。
このダンジョンに入れば、強くなれると。
……ゴクリ。
俺はダンジョンに行く時の装備、ダンジョン鉄の剣と胸当てを装備して、恐る恐るダンジョンへと入っていった。
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