十五話 キラキラ熟女と、深夜の無料セミナー 後編
あのキラキラ熟女に憑りつかれたのだろうか、夢の中では、たびたびと会った。
もう、こうなったからには私の方こそ憑り付きたい、ガチンコ魂で喰らいつく。
抱き観音に、抱いて抱かれて共に極楽沼に浸かろうか、これ男の本懐ではないか。
ただのキラキラ熟女ではない、男を狂わせる何か、とっておきの媚薬のような女。
私は、お約束の小説を一気に書き上げた。また、深夜の無料セミナーに行く。
二人きりの密室での個人レクチャー、怪しいコーヒー、布団まである。
例のコーヒーを飲んでからウテウテになった。媚薬入りに違いない・・・・
私 「また来ました。どうしても会いたくて、我慢するのに苦労しました」
「小説完成したので見てください。コーチも出て来るので、どうぞ」
コーチ「もう、書いて来たのですか、こっちも早いのね。どんなのかしら?」
私 「申し遅れましたが、私、藤原てるてると言うペンネームでやっています」
「この処女作は、『江戸情話 てる吉の女観音道』でして、時代物です」
「艶物にかなりと近いのですが、よくよく読むと女性を救う物語りを」
コーチ「色物を書いたのね、女好きって顔にも書いてあるわ。その観音道って?」
私 「はい、江戸は幕末のころ、越後から出て来たサカリ男が、ある願掛けを」
「女百人斬りの修行の中で、目覚めて行くのです。観音様を救うと言う」
コーチ「じゃ、女性を百人も描き分けたの、私との約束、私って、どんなかしら」
「エッチすぎにしてないわよね。この前は、あなたがあんな事するんだもん」
「まあ、いいでしょう。女は心も体も海の様に深いのです。男は溺れます」
「ねえ、自分のコードネームのこの、ワルサー5、25って何なの?」
私 「これはですね、ドイツの拳銃に模した男性自身の事です。第二ペンネーム」
「すぐピントと来ますよね。センチではなくてインチです。お恥ずかしい」
コーチ「まっ、あなたって、どこまでも正直なの。もうちょっと足せばいいのに」
「繊細さん。あなた、そうよ。生き辛さがあるから、書かずにはいられない」
「いいこと教えるわ。自分ではない人の想いまで、自分の想いにしている」
「人の波動を受け過ぎているのよ。これ好きこれ嫌い、と自分の心に尋ねて」
「良く聞いて、負の感情から自分を解き放つのよ。心地良い感覚を大切にね」
私 「ではまた、あのコーヒーお願いします。媚薬入りみたいな、あれ効いた」
コーチ「ああ、あれ、あれはね私のエキスが入ってるの、惚れ薬みたいなもんね」
私 「えっ、コーチのが? それって最高じゃないですか、どおりで空っぽに」
「また、心の中も空っぽにしてください。全部、ほんとに全部たのみます」
コーチ「私の方こそ、若返りの妙薬お願いね。あのコーヒー持って来るわ・・・・」
私は、コーヒーをがぶ飲みしたのかもしれない、そこの所の記憶が飛んでいる。
強烈な愛のセミナーが過ぎ、そっと部屋を後にした。可愛い寝顔をしてた・・・・
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