7-3

丼「それで、一人、一人が、国の真ん中に作られたステージで歌っていったのでありんす」


S.A.「それで、それで?」


丼「何日かして、シンデレラを除く全員が歌ったでありんす」


S.A.「それで…?」


丼「それで、終わったでありんす」


S.A.「えっ?」


丼「シンデレラだけ、その事を知らされていなかったので、ステージに上がれなかったのでありんす」


S.A.「まさか、それで終わりなの!?」


丼「終わるはずでありんした。ところが、ある夜、お忍びで王子が街を歩いていると、ある家の方から綺麗な歌声が聞こえてきたのでありんす。しかし、この前のステージで聞いたどの声とも違う事を不審に思い、その家のドアを叩いたのでありんす。そして、王子は、『今、歌っていたのは誰ですか?』と訊いたのでありんす。最初はごまかそうとしていた母親でしたが、部屋の隅に隠れるように、追いやられているシンデレラを、王子に見つかり白状したでありんす」


S.A.「それで、どうなったの?」


丼「王子と結婚したでありんす」


S.A.「それじゃ、ちっとも不幸じゃないじゃない…」


S.A.「私なんかより全然幸せじゃない!」と、思わず心の中で叫ぶ。


丼「ところが、でありんす。それまで自由にシンデレラに会えていたあちき達と、突然会えなくなったでありんす」


S.A.「どうして?」


丼「シンデレラはお城に連れて行かれ、一歩も外に出る事を許されなくなったのでありんす」


S.A.「それじゃ…今までの地下室の生活と対して変わらないじゃない!」


丼「そうでありんす」


雀「いや、地下室の時は抜け出す気になりゃ夜中に少し抜け出せた。それ考えたらもっと悪くなったな」


丼「だから、昔少し仲良かった解説ネコにシンデレラのお世話係として城内に入ってもらい、シンデレラとまた、会える日を首を長くして待っていたのでありんす」


S.A.「やっぱり、お姫様って結構大変なんだ」


思い出したようにS.A.は言った。


S.A.「もしかして、王子様がシンデレラを探しているんじゃ…もしかして、今頃ネコの国は大騒ぎなんじゃ…」


R「それはないのでR。王子様は目下、貴公子の国で修行中なのでR。2ヵ月はネコの国に帰って来ないハズなのでR」

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