7-2

しばらく、泣きながら感動に浸る、丼と灰かぶり。そして、やっとS.A.の存在に気付く一同。


丼「S.A.さんの存在を、すっかり忘れてたでありんす。こちらが、あちきの友達のシンデレラでありんす」


S.A.、丼の「忘れてた」の一言に「ムッ」とするが、シンデレラを紹介され、シンデレラを見る。


灰かぶり「こんにちは。私、灰かぶりと言います。皆には『シンデレラ』って呼ばれています。よろしくお願いします」


丼「シンデレラ。こちらが、あちきの飼い主のS.A.さんでありんす」


S.A.「こちらこそ、よろしくね」


雀「堅苦しい挨拶はそれくらいにして、どっかでゆっくり話そうや!」


R「それは、いい考えでR」


雀「お前、そういや、いたのか?すっかり忘れとったわ!」


R「…」


S.A.達は、近くの喫茶店「ブルマン」に入った。


雀「S.A.さんよ!聞いてやってくれよ、こいつの話を……こいつな、結構大変な思いしてきとんのやで!」


S.A.「へぇー」


丼「あちきが話すでありんす。実はシンデレラには、両親が居ないでありんす」


S.A.「えっ、そうなの?」


丼「そうでありんす。生まれた時から一人ぼっちの淋しい生活を送ってきたでありんす」


S.A.「へぇー。そりゃ、大変だ」


灰かぶり「いいえ、そんな事は…」


S.A.「それで…?」


丼「それで、親戚の家に引き取られたでありんすが、それがひどい家族で、2人の姉さんと義理の母さんにイジメられてたでありんす」


S.A.「それって、まるで童話のシンデレラみたいじゃないの…」


丼「そうでありんす」


S.A.「…で、その後どうなったのよ?」


丼「来る日も来る日も、暗い地下室から一歩も出られず、家事を一生懸命やってたのでありんす」


S.A.「…で?」


丼「それで、ある日、猫の国の王子様が国内の年頃の女の子全員から結婚相手の姫を選ぶ事になったでありんす」


S.A.「ますます、童話とそっくりじゃない!」


丼「そこで、王子はある条件を出したのでありんす」


S.A.「条件って?」


丼「『この国で一番、歌の上手な娘と結婚する』という事でありんす」


S.A.「歌の上手な娘!?」


丼「そうでありんす」


S.A.「だいぶ、童話と変わってきたわね」


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