第7話

遼太郎は暫く露天をウロウロして、街の外に出る。アスカに聞いたのだが、ゴブリンのボロ布よりも、他の動物を狩って肉を手に入れた方がお金は儲かるらしい。食料品店に持ち込めば、それなりの金額で買ってもらえるらしいので、今日は次の街を目指さず、最初の街の近くの森でホーンラビットを中心に狩ることにした。逃げ足も早く突進力もあるので、1人では危険だという話もあるが、リラとレラの2人と組んでいた時にも何匹か狩ったこともあるし、遼太郎は森へ入る前に沢山の小石を拾ってアイテムボックスに入れておいた。

「さて…?」

森に入り、数分歩いた所にゴブリンがいた。ものは試しと遼太郎は小石の1つを取り出すと、ゴブリンの頭に目掛けて投げつける。遼太郎の投擲スキルはまだ成長していないが、ゴブリンは頭から血を流している。

「意識もこっちへ向いたようだ。」

「ギィ!」

のんびりとした遼太郎の態度に腹をたてたのか、小石をぶつけられた痛みで頭を手で抑えながらゴブリンがこっちへ来る。遼太郎は落ち着いてもう一つ小石を取り出し、ゴブリンの武器である棍棒を持った手に向かって投げる。多少の補正があるのか、小石はゴブリンの手に当たり、ゴブリンは獲物を落とした。

「今だ!」

慌てて棍棒を拾おうとしているゴブリンに近付き、遼太郎はゴブリンの腹部に正拳突きを見舞う。凄い勢いでゴブリンは吹き飛び、大木に当たって絶命した。

「うん、この調子で狩っていこう。」

投擲と格闘、この両方を取ったことが正解であると確信を持って、遼太郎は森をどんどん進む。お陰でゴブリン以外にもホーンラビット、ギャガという鳥、フィッシュイーターと呼ばれる熊を討伐し、それなりに換金出来る食料アイテムが手に入った。

「そういやレベルはどうなったかな?」

遼太郎がステータスを確認すると、レベルは8まで上がっていた。そしてスキルポイントが200を超えていた。

「そうか、リラとレラとも一緒に戦って、それから見てなかったな。」

遼太郎はフィッシュイーターを倒した川の近くに座り、スキルの取得をすることにした。兎に角格闘にポイントを割り当て、残りで投擲を上げようと思ったが…

「ある程度武器や魔法も使えたほうが良いな。」

そう思って今回は武器スキルと魔法スキルを上げることにした。優先すべきは回復。遼太郎は回復と浄化魔法を最優先で取得した。 

「これを成長させれば、ある程度回復も出来るし、回復薬の節約にもなるからな。」

そうして遼太郎は限界まで回復と浄化のスキルを上げた。回復は解りやすいが、浄化とは総合スキルの1つである。最初はただの解毒魔法だが、麻痺、石化、呪い等、様々な状況に対応できるようになる。現在の遼太郎のスキルレベルでは、まだ麻痺までしか回復出来ないが、それでも今いる場所では充分だと思える。と、スキルの見直しをしていて、遼太郎がフレンドリストを見ると、リラとレラがログインしていた。早速連絡をする。

「リラ、レラ。今話せるか?」

"遼太郎さん!?"

"何かありましたか!?"

「いや、2人に頼みたいことがあって…」

"そうですか。私達今最初の街で買い物してますけど?"

「その買い物、少し待って貰えないか?」

"誰かから買い物してほしいとか?"

「あぁ。俺の学友なんだけどな。」

"解りました。ウィンドウショッピングしながら待ってます。"

「いいのか?」

"前に私達が困った時、助けてくれたじゃないですか。"

"それに話聞くだけタダですから。"

「有難う。じゃあ直ぐに街の噴水まで行くよ。」

"解りました。"

"ゆっくりでもいいですよ。姉さんと色々見てますから。"

"街に着いたらまた連絡して下さい。"

そう話して、遼太郎は街へと急いだ。

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メギドラムオンライン〜無趣味な俺の活動記録〜 藤本敏之 @asagi1984

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