第3話
教会から出た遼太郎は、街の外に行くために少し買い物をすることにした。無趣味の遼太郎でも、丸腰では危険なことは解っていたから。取り敢えず武器と防具を揃えて、アイテムを買うことにした。教会で並んでいる間に周りの人達から聞いたからだ。遼太郎の所持金は2000G。せめて500Gは残したいと思っていたら、武器屋にて、
「格闘スキルは武器は必要ねぇよ。」
と、NPCから言われた。次の防具屋で、
「格闘スキル持ちならこれかな?」
と渡されたのは、中華風の拳法着だった。装備すると素早さに補正がかかるらしく、移動速度が気持ち上がった。値段は800Gもしたが、今の街の中では最高品質だと説明を受けた。その後道具屋に行き、50Gのポーションと30Gの毒消しを5個ずつ、計400G使い、残金は800Gとなる。と、買い物を終えて街を出ようとしたとき、道端の露天で串焼きが売っていた。店主に聞くと、空腹を満たすアイテムであり、最低でも1つは持っておいた方が良いとの事。遼太郎は1本30Gの串焼きを取り敢えず5本買い、ポーション等と一緒にアイテムボックスに入れておいた。アイテムボックス内では劣化しないので、熱々のまま食べられるとは店主の言葉だった。遼太郎は取り敢えず準備が整ったので、街の外に出る。長い石畳の街道を見ると、あちらこちらでプレイヤーらしき人達が話をしたり、動かし方の練習をしていた。遼太郎は次の街へ急ぐ必要もないと思い、街道から少し入った森へ行くことにした。森の中ではゴブリンやそれに襲われているうさぎがいた。こちらにはまだ気付いていないようで、遼太郎は少し物陰に隠れて様子を見ていた。ゴブリンがうさぎを殺し、生のままバリバリ齧っている。それなりの年齢制限があるゲームであるとは聞いていたが、まさかここまでリアルとは…そんなことを考えながら遼太郎は後ろからそっとゴブリンに近付き、後頭部目掛けて踵落としを見舞った。格闘スキルLev.1で使えるスキルは踵落としと正拳突き。両方とも手と足の攻撃力を上げるものだが、威力は踵落としの方が上、そして何よりリーチが自身の身長により変わる特殊な技でもある。グシャッ!と凄まじい音を立てて、ゴブリンの頭が潰れ、その場にはゴブリンのドロップ品であるボロ布と魔石が落ちていた。ボロ布は売ることができ、魔石も売ることが出来るが、ランクの高い魔石は武器や防具に特殊効果を齎す事も出来ると説明書には書かれていたので、遼太郎は両方ともアイテムボックスに入れて、更なる敵を求めて森を彷徨う。1時間程でゴブリン12匹を討伐し、その時点でピロリンと音が鳴った。ステータスを見ると、オールラウンダーLev.2と表示されていた。そして遼太郎が一番驚いたのは…スキルポイントが何故か30も貰えていたことだ。スキルポイントは、スキルを覚えるために必要なもので、各職業毎に覚えていく為に必要、そしてレベルが上がれば必要なポイントが増えていく。。遼太郎は格闘スキルLev.1を持っているが、習得に必要なのは1ポイントだ。だがそれを免除されているので、遼太郎の持っているポイントは今31ポイントだ。このポイントを遼太郎は格闘スキルに全振りした。その為、格闘スキルは現在Lev.8まで上がった。そして余ったポイントで新しく投げスキルLev.2まで習得した。投げスキルは敵やアイテムを投げて攻撃するだけでなく、回復アイテムを味方に投げることでも発動出来るらしい。そしてレベルが上がれば遠くまで投げられるようになる。
(まぁ、当分は攻撃用かな。)
そう思いつつ、格闘スキルに目をやる。今習得しているスキルは踵落とし、正拳突き、目潰し、急所突き、旋風脚、地裂掌、爆裂拳の計7つになった。
(さて、一旦ログアウトするかな。)
昼休憩の為、一度止めて現実に戻ることにして、ステータスからログアウトを選択し、戻ってきてからスキルを確認しようと考えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます