七の三

「奴は双子だったのか!?」


何と包帯の下から現れた顔は、ポランスキーそのものだったのだ。


「そういうことか。奴は替え玉を使ったのだな」


ブラックは、一人で納得した……つもりだった。


しかし、次の瞬間、それは間違いだったと気づいた。


再び、バーンという激しい爆発音が響いたと思うと、次の瞬間、最初に現れた包帯をしていなかったポランスキーが、リリーに変わっていた。


「えー、静粛に!静粛に!」


会場は一瞬騒がしくなったが、リックのその声に、静かになった。


「今回、ある事情があって、演奏順を入れ替えました。つまり、リリーの順番の時に私が弾き、ポランスキーさんの順番の時にリリーが弾き、私の順番の時にポランスキーさんが弾いたのです。確かにこれは良くない事かも知れません。ですから後のことは、主催者と観客の皆さんに委ねたいと思います」


ひときわ大きい爆発音とともに三人は、舞台上から消えた。



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