六の四

「あいつが、ポランスキーの奴が、2位のはずがねぇ!俺の仲間が9:20過ぎに、第一中央病院のすぐ近くの砂漠地帯をバイクで走っているのを見てるんだ。あそこからどんなに急いでもバイクで一時間半近くかかるはずだ。10時にここで演奏できるはずがねぇ!」


その一言で、会場はざわつき出した。


司会者は、とりあえず、静かにさせようとこう言った。


「皆さん、落ち着いて下さい。静粛に願います」


しかし、会場内のあちこちに紛れ込んでいた特殊警察の関係者が、野次を飛ばし始めたため、会場は、混乱し始めた。


「静粛に、静粛に…」


司会者は、何とか会場を鎮めようと必死に呼び掛けたが、効果はほとんどなかった。


「皆さん!お静かにお願いします」


主催者がひときわ大きく威厳のある声で言ったその一言で会場は一瞬にして、静かになった。


「これから、ポランスキーさんや、関係者の方々を呼んで順位の事について再度検討したいと思います。皆様におきましては、しばらくこの会場にて静かにお待ち頂きたいと思います」


そう言うと、主催者は、舞台を降りてつかつかと、ポランスキーのところへやって来て、一言二言、小声で言うと、彼を連れて舞台袖の方へ歩いて行った。


第七章へ続く…。


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