六の三
「では、いよいよ発表したいと思います。 第十回ドラフィン音楽コンクール 優勝者は…」
ひときわ大きいドラムロールが流れ出し、スポットライトが動き出した。
二十秒ほど音が続いた後、音が止まって、場内は静かになった。
「エントリーナンバー10番 リック・フロストマシーンさんです!」
今までで最も大きな歓声を受けて、リックは舞台へ堂々と上がって行った。
司会者が、リックに声をかけた。
「おめでとうございます。今のお気持ちを
一言…」
「いやぁ、実に嬉しいです!」
司会者は立て続けにリックに話しかけようとしたが、リックは、それを手で遮ると、主催者の方へ進み、賞状とひときわ大きいトロフィーをもらうと、ボンッ!という音と白い煙を残して、舞台から姿を消した。
司会者は、次のように続け、式を終えようとした。
「以上をもちまして、表彰式を終わらせていただきます」
しかし、またしてもブラックによってそれは中断された。
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