六の二

「第三位は……、エントリーナンバー2番。 リリー・マーベラスさん!」


ひときわ大きなジャーンと言う音とともに歓声が沸き上がった。


リリーは、悔しそうに俯きながら、舞台へと向かった…が、途中で笑顔になり、「ありがとうございます」と言って、主催者から賞状とトロフィーをもらった。


「引き続きまして、第二位を発表したいと思います」


再びドラムロールが流れ出し、スポットライトが動き出した。


音が止まって、場内は静かになった。


「第二位は……エントリーナンバー5番

ポランスキー・コードさん!」


三位の時と同様な音と歓声が一瞬沸き上がったが、次の瞬間、男の大声に静まり返った。


「てめぇ、インチキしやがっただろう!」


ブラックは、大声で叫びながら、舞台に上がろうとして、主催者側の警備員に止められた。


「俺は、特殊警察の人間だぞ。ただの警備員ふぜいが俺に触るんじゃねぇ!!」


主催者が、それに応えて言った。


「この大会は、ルールに従えない者は、たとえ特殊警察であろうと、退場してもらいます」


この発言で、会場は大いに盛り上がった。


警備員にブラックが取り押さえられている中、ゆっくりとポランスキーは舞台に上がると、一礼して賞状とトロフィーをもらい、再び一礼した後、舞台を静かに降りた。


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