五の五
ブラックはトイレを見渡したが、誰も居なかった。
「居ない?」
少し考えて、ブラックは、ひらめいた。
「個室の方に隠れてるな? 一つずつ調べてやる…」
ブラックは一番手前の個室からドアを開けていった。
「ここか?」
そしてついに調べていないのが、一番奥の個室だけになった。
「ここに隠れてたのか? もう隠れてもムダだ、さぁ、出てこい、ポランスキー!」
ブラックは最後の個室のドアを開けた。
しかし、中には誰もおらず、個室も全て空っぽだった。
「畜生!あいつ、どこ行きやがった!?」
10:40
舞台上では、8番目の演者であるヨハンがどうしても我慢ができないと言ってトイレに向かったため、急遽9番目の演者が先に演奏し始めていた。
10:50
ブレードの演奏が終わり、ヨハンの演奏が始まった。舞台袖には10人目の演者であるリックが立っていた。
しかし、彼は、なぜかひどく息を切らしていた。まるで急いで走ってきたかのように……。
11:00
いよいよ最後の演者の演奏が始まった。
リックの演奏の間じゅう、場内は静まり返っていた。
11:10
演奏が終わると同時に、ものすごい拍手が沸き起こり、立ち上がって「ブラボー!」などと声をかける者が続出した。
観客の一人が言った。
「いやぁ、実に素晴らしい演奏だった。それにしても残念なのは、顔中を包帯で巻いていて顔がわからない事だ」
もう一人もそれに応えて言った。
「同感だ!超魔術団の団長らしいが顔くらい見せても良かろうに……」
その頃、ブラックは、まだあちこち建物内を、ポランスキーが居ないか探し回っていた。
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