五の三

9:00

会場に、たくさんの人が集まっていた。


9:30

いよいよ一人目の演奏が始まった。ちなみに演奏者と演奏順は次の通りである。


1 ポーク・オーランド(オーランド精肉店所属)

2 リリー・マーベラス(超魔術団所属)

3 ソルベ・クーリッシュ(クーリスト製氷店所属)

4 トラッド・カーディガン(トラディショナル紳士服店所属)

5 ポランスキー・コード(バー センリオ所属)

6 ブラック・ギース(EW特殊警察所属)

7 モーガン・ディーゼル(ディーゼル電器店所属)

8 ヨハン・クリスタル(クリスタル書店所属)

9 ロバート・ブレード(ブレード金物店所属)

10 リック・フロストマシーン(超魔術団所属)


9:40

二人目の演者として、リリーが登壇した。

リリーの演奏は、素晴らしい演奏で、ポークの演奏とは比べ物にならないくらい上手かった。


10:10

五人目の演者として、ポランスキーが登壇した。ソルベとトラッドの演奏はそつなく無難なだけの演奏でアクビをする客もいたのだが…。


ブラックは、演奏直前にポランスキーに向かって叫んだ。


「俺が弾き終わるまで逃げるんじゃねえぞ。必ず捕まえてやる。楽屋で首を洗って待っておけ!」


ポランスキーは、それには答えず、客に一礼すると、ピアノを弾き始めた。

蝶が、舞うような軽やかな指使いで演奏される曲に人々は魅了されていった。



10:20

ポランスキーが舞台袖に引き上げるのを横目で見ながら、六人目の演者として、ブラックが登壇した。

特殊警察の人間とは思えないほど、演奏は上手かったが、リリーや、ポランスキーと比べると

物足りない感じの残る演奏であった。


ブラックは、自分の演奏が終わるとすぐポランスキーを探しに楽屋へ戻った。


しかし、彼の姿はそこにはなかった。


「アイツ、どこに行きやがった?」


10:35

モーガンの演奏がすでに始まっていた。

ブラックはあちこちを探したが、ポランスキーは見当たらなかった。


楽屋に戻ってきたブラックは、そこにいたソルベに尋ねた。


「ポランスキーの野郎を見なかったか?」


ソルベは、興味なさげにそっけなく言った。

「トイレにでも行ってるんじゃないですか?」


ブラックは、納得して言った。

「そうか、俺としたことが…。トイレを探し忘れていたとは…。ありがとよ…」


ブラックは、急いでトイレに向かった。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る