四の三

病院に盗聴器をつけてから2週間ほど、何の情報も得られなかったが、次の日、例の盗聴器から貴重な情報が、もたらされた。


どうやら、EW商事の会長の配下の者たちが、例の少女の見舞いに来たようだった。


「お嬢様の様子はどうなんですか?」


「ずっと小康状態というところだ」


「ところで、おまえのところのTVの加入者で、お嬢様の血液型と一致したやつはいるか?」


「いえ、まだ見つかりません。しかし、この街の住人の全員から小指が無くなる頃には、誰か一人くらいは見つかるでしょう」


「早く、そうしろ。お嬢様は今は小康状態だが、いつまであの状態でいられるか分からないんだぞ。万が一、亡くなられるような事になってみろ。俺たち全員が死ぬ程度じゃ許されないぞ!」


「どうして、お嬢様はそんな厄介な血液型に生まれてきたんだろう?」


「それは、お嬢様自身が、最も気にしておられる事なのだ。そんなことおまえが気にしても仕方がない。俺たちは、会長のおっしゃられる通りにするまでだ!」


俺は、この事をマスターに伝えた。


マスターは、それを聞くと怒りだした。


「自分の孫娘の命を救うために街の住人の小指を集めていたと言うのか?」


「はい。ということは、EW商事の会長もそんなに悪い人ではないのでは…」


「何を言っている!どんな理由であれ、街の住人の小指を切り落とすなどという事を条件に契約させているテンギヤムTV、いや、そのグループ総帥でもあるEW商事の会長のやり方を認めるわけにはいかない。」


「はぁー……」


俺は、次にどうするべきなのか、図りかねていた。


第五章へ続く…。




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