三の四

「怪しそうな場所を見つけたら、取りあえず、この盗聴器を取り付けて来い。そうすれば、何か新しい情報が掴めるかも知れない。」


俺は、懐から盗聴器を取り出すと、そのベッドの下側に取り付けた。


その後、ゆっくりとドアを閉め、そこを出ると、もう2時近かった。


「そろそろ、また巡回が来るな。」


俺は、一人目の警備員が、階段を上がって来る前に

2階まで降り、2階の病室の階段に一番近い部屋に隠れた。

そして、そいつが3階の方へ行ったのを確認して、1階へ降りた。


外へ出るドアを少し開けて、石を門と反対側へ投げた。

(2階の病室に隠れたとき、偶々あった水槽に入っていた適当な大きさの石を持って来ていたのだった。)


何かに当たって音がした。

その物音にもう一人の警備員が、音のした方へ走って行った。


俺はすぐドアを閉め、門の辺りにいた警備員が門とは逆方向へ走って行ったのを見計らってドアを開けると、急いで門の外へ駆け出した。


(石がなければ、自販機でジュースを買って投げるつもりだったが、投げたのが石だったためか病院に侵入したことじたいに、気付かれなかったようだ。)


それから、しばらくは何の情報も得られなかった。


第四章へ続く…。



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