三の三

俺は、取りあえず上に向かうことにした。


だいたい、企業秘密っていうのは、最上部か、地下の一番奥の部屋って、相場が決まっている。


そして、この病院には見たところ地下室はなさそうだし、逃げる時、下へ下へと逃げるには、上にあらかじめいなきゃいけない。

(上に逃げるのは疲れるし、仲間でもいない限り、屋上に追い詰められたら終わりだ!)


俺は、最上階を目指したが…。


3階。


それ以上は無かった。


なので、俺は、3階の一番奥の部屋に向かった。


しばらく長い廊下を真っすぐ歩いて行くと、壁に突き当たった。


俺は、その壁から一番近い、入ってきた方から見て左の部屋へ近づいた。


病室の表札には、名前が無かった。


俺は、ゆっくりとドアを開けた。


中は、かなり広い造りになっており、その中央にベッドが一つ置かれていた。


おそるおそる、俺は寝ている人物の顔を覗き込んだ。

そこに眠っていたのは、歳は、11、2歳の少女だった。


「この子がEW商事の秘密なのか?」


俺は、今ひとつ理解できないままその場を後にしようとしていた。


その時、マスターから言われた事を思い出した。


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