ディアナの騎士達 2
「ただレティシアは自分を可愛い姫だとは想っていないようだから、もう少し、レティシア本人にも、自分がとても可愛らしい姫だと自覚させてあげたいな……」
すでに嫁してきた花嫁を取り換えろと言い出すような困った人達に囲まれていたのだから、味方のいなかった孤独なレティシアが自信をなくすのも無理はないのだが……。
「あんな可愛いレティシア姫が、自分を可愛いと思っていない? 失礼ながら、サリアはディアナと美的感覚が著しく異なるのでしょうか? もしや私が大変な美男に見て頂けるような国だとか……」
「アルノーはディアナでも美男の部類だろうからその例は少しも正しくない。……そうなのだよ、美しいと言われる事より、おかしなことを言われることが多かったらしく……これから、こちらで、あたりまえの認識に慣れていってもらいたいな。可愛い姫だとか、賢い姫だとか、おかしな姫ではないとか……」
「あのような幼い姫にそのような誤解を生じさせ、既にこちらに嫁された姫を交換などと仰せになるサリア宮廷にはかなり疑心を抱きます。御嫁入りには少々早いお年頃ですが、であればレティシア姫が早くフェリス様のもとに来られてよかった」
人の好いアルノーがレティシアの為に義憤に燃えてくれることが、フェリスには嬉しく想えた。
「うん。そうだね……」
最初はレティシアがあまりよい待遇を得ていないようだから、婚姻には早すぎる歳だけどひとまずあの子をディアナに避難させたい、と思っていた。その想いはいまも有効だけど、それとはべつに、フェリスは自分の為にレティシアと一日でも早く逢えてよかったと想う。
やがて美しく賢く成長していくレティシアは、多くのものを愛するだろう。
フェリスの妃になる姫は、見知らぬリリアの塔の為にも哀しむ、愛情深い姫だから。
その愛するもののなかのひとつに、フェリスも含まれていたい。
レティシアの言葉で語るなら、レティシアに推されていたい。
どんな形でもいいから、レティシアに愛されていたい。
「大切なレティシアがディアナで安心して暮らせるようにしてあげたい。ディアナの安心といえば、アルノー、リリア僧を排除しかねていると?」
アルノーとの話題はどちらかというと、レティシアのことより、こちらが本題だ。
いまフェリスと話す人は、どうしても挨拶とともに、レティシアのことが話題になってしまうが。
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